せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

20210822

  • 日曜日。休日。晴れ。暑いけど湿度はそこまでなくて割と過ごしやすい。
  • 今日は昼から下北沢で舞台を1本。観るのは劇団DULL-COLORED POPによる第23回本公演『丘の上、ねむのき産婦人科』です。

第23回本公演『丘の上、ねむのき産婦人科』 | DULL-COLORED POP

  • DULL-COLORED POPの公演は、第20回本公演として上演された『福島3部作』以来2回目の鑑賞でした。当時の感想ブログがいい感じだったので貼っとこ。

20190825 - せーはくの備忘録

  • これを観て以来、DULL-COLORED POPの名前はずっと頭にあって、でもいろんなタイミングが合わなくて行けなかったんだけど、今回のテーマを知って行かなきゃダメだと思ったので行きました。
  • そのテーマは、ずばり「妊娠」「自分と異なる性/生を想像する」。性意識とか「普通の」人生とかに対して俯瞰的に捉えたい考えがあったので、この公演を観ることがその助けになるだろうと思いました。
  • さらに特徴的なのが、「男女入れ替え上演」というシステム。

本公演は「異なる性/生を想像する」というテーマに基づき、男女入替えA/Bキャスト2バージョンで日替わり上演しています。

[A]キャストでは女性キャストが女性役、男性キャストが男性役を演じます。
[B]キャストでは男性キャストが女性役、女性キャストが男性役を演じます。

 

配役はランダムではなく、自分の相手役と入れ替わります。つまりAで妻役を演じていた人は、Bでは自分の相手役だった夫役を演じる。Aで夫役を演じていた人は、Bでは自分の相手役だった妻役を演じます。自分の相手役の感情や行動を理解し、想像し、自らのものとして演じます。演出や美術・照明・音響などは変えません。外枠を変えないことで、かえって演じる人間が変わることで生まれる違いをお客様に見てもらえるはずです。

  • こんなに面白い仕掛けがあるかいな、と思って、迷わずBキャストのほうを選びました。本当はAを観てからのほうが良いんだろうけど、プライベートの状況的に2回観られる自信がなかった。
  • そしてやっぱり、DULL-COLORED POPはきめ細やかな配慮がものすごい。
  1. 有料配信の実施
  2. 先に必要な枚数だけ購入してプレゼントし、贈られた相手があとから日時指定できる「ギフトチケット」システムの導入
  3. パンフレットや台本をKindleでも販売
  4. AB両方を鑑賞した人へ特典エッセイを配布
  5. 各種事情のある人に対して通路席を優遇割り当て
  • こんなに尽くしてくれているのは本当に尊敬と感謝しかありません。迷わず支援チケットを購入しちゃったもんな!

「客席数が半分ならチケット代を二倍にしていいよ!」という応援の声をよく頂きます。それで観られなくなるお客様が出てしまうことを考えると一律二倍にはできませんが「ぜひ支援したい」「本当に二倍払いたい」と考えて下さる方は、コロナ支援チケットをご購入下さい。

席種は定価のお客様と変わりませんが、ささやかな感謝の品を贈らせて頂きます。受付にてお申し出下さい。また、このチケットの定価との差額分は、劇場費や製作経費など「物」に対してではなく、キャストやスタッフなど「人」に対して全額使わせて頂きます。

  • 感想としては、ええもん観させてもらいましたわというものに尽きます。リアルな質感を持つ題材でありながら、男女入れ替えというフィクション要素も併せ持っていて、そこのアンバランスさが面白かった。
  • それに、「相手役の感情や行動を理解し、想像し、自らのものとして演じ」るための入れ替えをすることで、「パートナーもあくまで他人であること」「どれだけ愛しても他人のことは理解できないこと」をむしろ強く突きつけられた感じもありました。
  • だからこそ人は尊重し合えるし、支え合えるし、共生できるんだと思ったりした。ひとりはひとりの幸せがあるけど、ふたりはふたりの幸せがあるからね。
  • 22時からYouTubeで配信されていたアフタートークも見たけど、劇団主宰であり作演出の谷さんが、「子供をアンパンマンこどもミュージアムに連れていくうちに、そこが親にとっても楽しい場になってくる」みたいなことを言っていて、そういうふうに自分の変化をポジティブに捉えられる人間になりてぇなと思ったりした(ちなみにこれが私の下半期の抱負です)。

 

  • 長くなった。おわります。