せーはくの備忘録

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オリラジ中田敦彦考案の転売対策

2017年4月22日にルミネtheよしもとで開催された、「ORIENTAL RADIO TALK LIVE」にて発表・プレゼンされた策について、なるほどなぁと思ったので備忘録に書いておく。



その前提として断っておきたいのは、

僕の主観による補正が入っていること。
その場で語られたことが全てではないだろうこと。
ここに書かれていることが全てではないこと。

です。

中田さんの考えていることを100%書き残すのは難しいと思うし、きっと本人の言葉や行動で今後見えてくる、はず。

2017年の4月22日時点ではこんな感じでしたよっていう、そういうくらいのあれです。



※4月26日追記
中田さんがブログに書いてくださったので掲載します→「オリラジ中田、転売撲滅の画期的システム発表!」 

 



 
前置きが長くなった。



まず、結論を書きます。  

  1. 会場を決めずにチケットを発売する(候補は決めておく)
  2. 発売開始後数日間の売れ行きを管理し、全体の売れ行きを予測
  3. 予測に応じて大中小3タイプの会場を押さえる(席数可変の会場かつキャンセル料が出ないことが重要)
  4. 会場を決定
  5. 会場のだいたいのエリアを購入者にアナウンス
  6. 開催直前に座席数を決定

というシステム、その名も
「JUST CAPACITY SYSTEM」 。


これが中田さんが提案する、転売防止策です。




 
じゃあ、ここからはイベント内容の流れに沿って、順を追って書いていきます。 




まず、スクリーンに表示されたのは「120/458」の文字。 
これは、この日の会場458席のうち、定価以上の価格で取引された割合。
早い話が、転売屋によって転売された枚数が120枚ということ。

中田さんは
「この中にも転売で買った人はいると思うけど、今日だけは許すから後ろめたい気持ちゼロで聞いてほしい」
と前置きして、話を進めていきました。


事の発端となったのは、中田さんのこちらのブログ。 

「ブログが大反響を呼んだということは、俺のファン以外の人も読んでくれたということ。つまり世間的に転売は大きな問題になっているということ。ただ、その反響の中に、『経済学的に正しい』や『誰も損してない』など、転売を擁護する意見もあったのが驚きだった」
と中田さん。

100円のミカンを例に出したりしながら、転売とはどういうシステムで行われているかを、藤森さんと協力して僕らに分かりやすく解説をしてくれました。



そして、中田さんは
「販売者と購入者の二元論で考えるから良くない。もっと細分化しなければならない」
「販売者を『主催者』と『出演者』に、購入者を『来場者』と『転売者』に分けるべき」
と言います。

次に考えるのは、「本当に誰も損してないのか?」ということ。

主催者は定価で捌けたから損してない。
転売者は儲かったから損してない。

中田さんは、
「来場者は『正規の価格で買えない』 『出費が増える』という損」
「出演者は『空席リスクを負う』『キャパデータの損失』という損」
を被ると主張。
※空席リスク=転売に失敗して空席ができること(出演者のモチベ低下)
※キャパデータの損失=チケット応募者の中に転売者が紛れ込むことで、本当に行きたい人の母数を推測できず適切なキャパシティが分からなくなる

つまり、「誰も損していない」なんてことはなくて、ちゃんと損してる人はいるんだということ。




では、なぜ出演者側はこの問題に対して声を上げてこなかったのか。

それは、上記の「出演者の損」は、人気度に左右されるから。

例えば、現状転売の温床と化しているジャニーズのライブでは、確実に空席なんてできない(転売しても誰かが買う)し、キャパデータを取る必要がない(どうせ国内最大会場の東京ドームでやる)。

だから、声を上げる必要がないのだと。




しかし、状況が少し変わるできごとが。

それが、中田さんがブログでも触れている「音楽業界の転売屋撲滅声明」です。 

これにより、転売屋は音楽ライブ以外の市場を探し始め、お笑いライブに目を付けた。
その結果、標的にされたのが狩野英孝さんと小島よしおさんのライブだった。

TVにも頻繁に出ているタレントということもあって、転売は確実に成功すると思われた。

しかし、目論見は外れ、空席が多く発生してしまった。

この時、ジャニーズライブでは隠されていた出演者側の損失が、初めて明らかになったのだと。




ただ、転売の標的は人気度に左右され、その人気度は一過性のものだから、標的は移り変わっていく。

つまり、今標的にされていても、数年後には標的から外れ、「うちには関係ない話だな」で済んでしまう。

となると、「主催者」「出演者」「来場者」「転売者」のうち、残る損失リスク保持者は「来場者」のみとなる。





しかし、ここで中田さんが指摘したのが、「来場者が時に転売者になる」という可能性。

例えば、Twitterで「友達が行けなくなったので定価の3000円で譲ります」とツイートする。
すると、同時に複数人から「欲しいです」とリプライが来る。
そのうち1人が「5000円出すのでください」と言う。

慎吾なら誰に渡す?と聞かれ、「そりゃ5000円の人でしょ」と答える藤森さん。

これが、来場者が転売者に変わる瞬間だと。


つまり、冒頭で「購入者」を「来場者」「転売者」に分けたが、実は「来場者」「来場者だけどたまに転売者」「転売者」のグラデーションがあると中田さんは言います。






では、転売チケットが目の前に転がっている時、来場者にはどういう選択肢があるのか。 

1.「転売者から買わずにライブに行かない」
2.「転売者から買ってライブに行く」

の2つです。

しかし、1と2どちらにも損失があると中田さんは指摘。

1には「行けないという心理的損失」。
2には「高値で買ったという経済的損失と後ろめたい気持ちの心理的損失」。

これはダブルバインドの状態にあるといえます。
ダブルバインド=選択肢どちらを選んでも損失が待っていること



そこで、主催者がよくやるのが「本人確認」という対策。

中田さんはこれにも問題があるといいます。

それは、上記2の人にとっては、
「経済的損失+後ろめたい気持ち+追い出されるリスク」 
というスーパーダブルバインド状態になってしまうという問題。

つまり、本人確認は、転売問題を根本的に解決する策にはなっていないということ。





それを解決するために、まず中田さんが考えたのが「電子チケット」という策。
しかしこれも、QRコードのスクショを売ってしまえば転売が成立してしまう。

次に考えたのが、「余ったチケットを公式に回収して行き渡らせる、再販サービス」。
しかし、このサービス自体に強制力がないため、はじめから転売目的で買っている人には関係ないと。



そこで、中田さんは
「人間の心にアプローチをすること、インセンティブ(動機づけ)をすることが大事」
と強く主張します。


来場者の本音は、
「正規のルートでチケットが買えるなら転売者から買わない」。

だったら早い話、欲しい人が皆手に入るようなキャパシティでやればいい。

ただ、だからと言って東京ドームでオリラジのトークライブをやるわけにはいかない。

来場者にとっては「簡単にチケット取れるラッキー」でいいけど、主催者や出演者にとってはそうもいかないから。



つまり、
来場者=売り切れてほしくない
主催者=売れ残したくない
という矛盾がここにあります。





そこで中田さん。
「欲しい人全員に行き渡って、かつ席が余らないのが理想。じゃあ、風船のように、購入数に応じて膨らむ会場があれば良いのでは?」
と思いつきました。

膨らむっつってもどういうこっちゃ、と混乱する藤森さんと観客。



そのからくりとは…


  1. 会場を決めずにチケットを発売する(候補は決めておく)
  2. 発売開始後数日間の売れ行きを管理し、全体の売れ行きを予測
  3. 予測に応じて大中小3タイプの会場を押さえる(席数可変の会場かつキャンセル料が出ないことが重要)
  4. 会場を決定
  5. 会場のだいたいのエリアを購入者にアナウンス
  6. 開催直前に座席数を決定

というもの。

これが、「座席増減タイプ会場の3パターン無料仮押さえによるキャパシティ後決めシステム」
名付けて「JUST CAPACITY SYSTEM」です。

つまり、会場を先に決めるから売れ残ったり落選したりしてしまうのだから、会場は最後に決めてしまえばいいという逆転の発想。


5で「会場名」ではなく「会場のエリア」をアナウンスする理由は、
「会場名をアナウンスすると、それが転売につながってしまうから」。

会場キャパがある程度判明してしまうと、チケットを買い占めて転売しようという層が現れるかもしれない。
でも、会場を伝えないと来場者のアクセススケジュールが組めない。
その2つのバランスを取った結果、「エリアだけ伝える」という作戦に至ったのだと思う。



1~6の条件を満たせる会場は、都心部にどれくらいあるのかをリサーチしたところ、1000人以下のキャパならたくさんあると。
500人以下ならもっとあると。

じゃあ、もっと大きな集客力をもつ出演者は?という疑問が浮かぶんだけど、中田さんは断言。


「俺は俺たちのファンを守りたいんだ。そして俺たちのファンは1000人もいない!」


会場は大盛り上がり!(良いのか




最後に、「正規のルートでチケットを買いたい」という来場者のインセンティブを、このシステムで解決した一方、出演者にもインセンティブが必要だと中田さんは主張しました。

それは、収入。

元々劇場でライブをやっていた芸人でも、人気が出てテレビでレギュラーを持つと、多くはお笑いライブをやるスパンが長くなってしまったり、定期的にやらなくなってしまったりするらしい(僕は詳しくないから知らない)。

なぜなら、テレビのほうが儲かるから。

僕も今回チケットを買って驚いたけど、お笑いライブは3000円とか3500円とかで2時間、しかもそのあと見送りなどもあるから、かなりコスパがいい。
しかも、そのチケット収入は出演者ではなく主催者にも配分されるから、主催者がライブをやるインセンティブがなかなか無いらしい。
極端な話、ボランティアでやっているようなものなのかな。

例えば、オリラジはRADIO FISHとして赤坂BLITZで単独公演をやったけど、その価格は4000円。
それがオリラジ的に(そして吉本的に)普通だから。
価格設定を聞いたダンサーチームはひっくり返ったらしい。


そこで、5月27日に舞浜エリア(会場までは分からない)で行われるトークライブでは、なんとチケット価格をこれまでの倍の7000円に設定するという。

「絶対満足させるから」

と中田さんは言ってくれたし満足させてくれると思うけど、正直、世間や芸人仲間や偉い人たちからの風当たりは強いかもなぁなんて思う。






ちなみに、4月23日時点では来月のライブのページ(Peatix)にはこんな感じの記載が。


  • -公演会場- 舞浜の会場。詳細はTwitterでの発表をお待ちください。
  • -公演日程- 2017/5/27 (土)開演 18:00 /終演 20:00 (予定)
  • お申込み後のキャンセル、枚数変更は受け付けておりません。イベントにやむをえず参加できなくなった場合、ピーティックスのチケット再販機能を利用してチケット価格6,000円~7,000円での再販売が可能です。
  • お座席の位置(座席番号)は公演当日ご入場の際に入場口で QR コードチケットの認証後、お渡しする座席券にて、お知らせします。座席番号は当日ランダムに割り当てさせていただきます。
そして、チケットに「完売」はなく、公演の数日前まで(会場決定するまで)売り続けるらしい。
これなら会場は膨らみます。





以上です。

たぶん大体の流れは合ってる(はず)。



だいぶ固いテーマだけど、実際は藤森さんの絶妙な相槌もあって、適度に笑える楽しいプレゼンでした。 

プレゼン開始直後、藤森さんが「俺も初めて聞くんだよ」とさりげなく口に出していて、絶対そんなことはなくて2人で相談して決めているはずなのに、その一言で藤森さんが観客の代弁者になってくれて、色んな質問をしたり空気を柔らかくしてくれたり、さすがだなぁと思いました。

難しいワードも、例を出したり簡単なことに置き換えたりして分かりやすく解説してくれてありがたかったです。 




きっといろんなテクノロジーが発明されると思うしいろんな対策がとられていくことになるんだろうけど、今のこの時点でオリラジのふたりがオリラジのファンのために最善を尽くそうと頑張って考えてくれたことが嬉しかった。


来月のライブ、いい結果になるといいな。