せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

『ノンフィクションコンパス』の話

こんにちは。せーはくです。

先に言っときます。長いブログになります。目次用意しておくので、読みたいところだけ読んでください。

 

 

2019年8月9日から12日にかけて開催されたコミックマーケット96の2日目に、「あおしろ荘」として参加し、サークル第一作の『ノンフィクションコンパス』を頒布いたしました。配置は南2ホール「カ」29aでございました。

 

令和初のコミケ、史上初の4日間開催、南展示場と青海展示場の使用などなど、従来のコミケとは大きく様変わりしたC96でしたが、そのタイミングで初のサークル参加をできたこと、そして無事に終えられたことがまず嬉しいです。

 

 

 

 

 

コミケとの出会い

 

僕がコミケに初めて参加したのは、2011年の冬コミ(C81)でした。当時高校1年生の僕はそれほど同人に興味がなく、企業ブースで「けいおん!」関連のグッズを買って帰った記憶があります。

 

それから4年。一冊の同人誌が僕を変えました。

sehaku.hatenablog.com

 

さらに時が経ち、『こえ部』に初めて参加したのは2018年の夏のことでした。

sehaku.hatenablog.com

 

夏、冬、夏と、3号連続で寄稿させていただいたこと、ほんとにほんとに光栄です。

sehaku.hatenablog.com

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なぜ自分のサークルの話なのに『こえ部』の話をしているのかというと、『こえ部』に出会わなければ、僕がサークルを立ち上げることはなかったからです。

 

これを運命論と言っていいのか分からないけど、僕はそれっぽい傾向があって、「自分の人生で起きることは全て決められている」と思うことが多いです。

「○○に出会わなければここまで楽しい人生を送れていません」というのは気軽に言いがちな言葉なんですが、僕はそこに疑問があってですね。「○○に出会わなくても俺の人生は絶対楽しかったでしょ?」とか「そもそも○○に出会うように俺の人生って仕組まれてるでしょ?」とか思うわけです。

だから、例えばこういうことを応援している人に手紙で伝えようとした時に、「もしかしたら、別の人生では他のかたちであなたに出会っていたかもしれないけど、今の僕は、〜〜をきっかけにあなたに出会えたことが誇らしいです」とかの表現をするわけなんですよね。

具体例を挙げると、僕は雨宮さんを「雨宮天の群青ガラパゴス」を通して知ったわけなんですが、たぶん群ガラに触れなくても、いずれ雨宮さんを好きになっていたと思うんです。でも、僕にとっては群ガラを通して雨宮さんを知ったことが大事で、誇らしいんですよ。ということです。

  

さて。その運命論っぽい何かを適用するならば、僕は『こえ部』に出会わなくても何かしらに影響されてサークルを立ち上げているはずなのですが、こればっかりは100%の自信を持って「絶対にあり得なかった」と言えます。『こえ部』は運命を超えるのです。自分でもびっくりするくらい、確信を持って言えるんです。

 

 

 

『こえ部』に出会った僕は、愛を言葉で伝えることの素晴らしさとか、オタクの真っ直ぐな感情とかに触れて、自分でも色々なものを書くようになりました。そして僕の世界は広がっていき、たくさんの大切な友達ができました。

 

初参加となったC81以降、コミケにはほぼ毎回参加していました。大学受験のときはさすがに不参加だった気がしますが。

なんというか、あの場が好きなんですよね。熱気とカオスさと、全参加者に共通して半端ない愛情が充満している空間が。そんな僕だったので、その場に、一般参加者として以外の立場で関わりたいという気持ちが芽生えるのは自然なことだったように思います。

 

その気持ちが初めて実ったのは、2016年の冬コミ(C91)のこと。アキラさんのサークル「光の雨が降る空に」の第一作『Ama-iro vol.1』に寄稿しました。自分が書いた文章が本になる経験は、これが初めてでした。

それから1年後の2017年の冬コミ(C93)には、うじゃのさんのサークル「井戸底プラネタリウム」の第一作『雨やしこ vol.01」に寄稿。加えて、青の半纏さんのサークル「Blue Fountain」にちょこっと協力しつつ売り子としても参加しました。島の内側から見るコミケは新鮮で楽しくて、その経験がサークル設立に繋がったことは間違いありません。

C91とC93については、下記の記事に諸々書き残しています。

sehaku.hatenablog.com

 

 

申込~入稿

 

そして具体的にサークル立ち上げを考え始めたのは、2018年の冬コミ(C95)で『こえ部』に寄稿してからです。とりあえず申し込んでみよう!と思って、C95に一般参加して、現地で申込セットを購入して、どきどきそわそわしながら申込を完了しました。

そういえばサークル名「あおしろ荘」の由来について、どこにも書いていなかったので書いときます。

ハンドルネームの「せーはく」は、実は「青白」という自分の好きな色を並べたやつだったので、それを崩して「あおしろ」にしました。そんで、家系らーめんが大好きなので「あおしろ家」にしようと思ったのですが、なんか暑苦しそうだったのと、ぐるナイの「おもしろ荘」に響きが似ていて覚えやすそうだったので「あおしろ荘」にしました。

  

C96の申込期間は2018年12月末~2019年2月20日まで。そして当落発表は6月上旬でした。

普通は当落が出てから色々と準備をすると思うのですが、僕は落選しても本を作ろうと思っていましたし、始動が早いに越したことはないと思い、だいぶ先行して構想を練っていました。

どのくらい先行していたかというと、2月16日・17日のスフィア10周年ライブの会場で、みやっちさん・ケイスケさん・きりさめさんの3人に「サークルつくります」「本出します」「3人にも書いてほしいんですけど大丈夫ですか?」という前振りをしていたくらいです。

申込も前振りもしといて「やっぱやめた」はさすがにダサい感じがありますし、そうやって徐々に退路を絶っていき(?)、もう逃げられない状況をつくりました。

 

さて、本を出すことは決まった(決めた)ので、あとは内容です。

 

大前提として、『こえ部』が大好きだからこそ『こえ部』の二番煎じになりたくない気持ちはあったので、オタクが演者について書いた本ではなく、オタクがオタク自身について書いた本にしようと思い、コンセプトを定めました。それが、僕が読みたいものでもあったので。

 

次にタイトル。UNISON SQUARE GARDENの曲名にすることは決めていました。で、何曲か好きな曲を聞いているうちに、『ノンフィクションコンパス』の歌詞が上記のコンセプトにばっちりハマると思ったので、『ノンフィクションコンパス』をタイトルに据えました。

 

次に表紙を誰に依頼するかを考えました。考え始めて0.3秒で「れんれんさんしかいない」と思いました。

僕はほんとにれんれんさんのイラストが好きで好きで大好きで、本人にも何度か暑苦しく伝えているくらい大好きです。第一作は一度しかないわけで、ならば一番好きな絵を表紙にしたいと思って、4月11日にれんれんさんにクソ長いメンヘララブレター(れんれんさんに書いてもらえないなら本出すのやめます、という旨)をLINEで送りました。

そしたら快諾してもらって、「追って具体的に締め切りとか教えてください!」と言われたので、3分後に依頼書を送りました。断られるわけがない……とまでは思っていませんでしたが、ラブレターを送った段階で既に依頼書や表紙の参考資料はバチバチに準備していたのです。そのくらい、表紙はれんれんさんしか考えていませんでした。

それから一週間くらいで表紙のラフを上げていただいて(早すぎィ!)、ちょどその頃に関西に行く用事があったので、そこでれんれんさんに誘ってもらってサシ飲みしつつ、本のコンセプトとか、表紙の方向性を話し合って、表紙を完成させていきました。

 

れんれんさんに表紙をOKしてもらったあとは、文章とイラストを依頼したり、コラムを依頼したり、慣れないことばかりでバタバタとしつつ、6月7日に当選メールが来ました。

 

 

そこからは、仕事が忙しくなったこともあって本当に怒涛の日々でした。『こえ部』の原稿を書くことと、上がってくる皆さんの原稿を読むことが日々の癒やしでした。

 

原稿は全てWordで組んで、それをPDF化して入稿しました。

印刷所は『こえ部』に倣って栄光を選びました。入稿期日が8月1日の17時とかだったと思うのですが、ほんとにギリギリの入稿になってしまいました。

本来であれば、レイアウト等のデザイン面にももっと拘りたかったですし、きちんと組版を組んで寄稿者の皆さんにも確認してもらうべきでしたし、寄稿者紹介ページにTwitterのIDを載せたかったのですが、色々と時間が足りませんでした。完全に自分のスケジュール管理が甘かったです。

その影響で、目次のページ数が間違っていたり、本文中に誤字があったり、そもそもお名前をフルネームで載せていなかったり、まぁとにかくずさんなものになってしまいました。売り物として出す以上、最低限守らねばならないレベルのことだったと思いますし、寄稿者の皆さんと購入してくれた方に対して失礼なことをしてしまったと感じています。

 

 

入稿~当日

 

そんなこんなでなんとか入稿し、サークルスペースの準備を始めました。

  1. A2サイズのサークルポスター2枚(キンコーズで1枚あたり3000円くらい)
  2. ポスター掲示用スタンド2つ(Amazonで1つあたり1500円くらい)
  3. A4サイズのお品書き(自分で印刷)
  4. お品書き用額縁(100円ショップ)
  5. お品書き用イーゼル(100円ショップ)
  6. 敷布(100円ショップ)
  7. 100円玉・500円玉のコインケース(100円ショップ)
  8. お金隠し用キッチンラック(100円ショップ)
  9. お金隠し用の謎の背景キット(100円ショップ)

用意したのはざっとこのくらい。

普通はポスターは1枚だけだと思うのですが、それだと正面の人にしか訴求できないので、左右両方に対応するために斜めに2枚掲示しようと思いました。結果、デカすぎて1枚しか掲示しませんでした。くまめいとは賑やかしです。

 

 

頒布価格は500円に設定しました。24人の人生の一部を切り取った作品にしては割安すぎるのは分かっていますが、できるだけ多くの方に手に取ってもらいたくて、この価格にしました。

そして頒布部数は150部にしました。完売を目指すのであれば、適正部数は100部だと思いつつ、完売ということは買えなかった人がいるということですし、絶対に完売はさせたくなかったので、かなり余裕を持った部数を印刷しました。

 

入稿して、お品書きツイートを投稿しました。サークル主っぽくて楽しかったです。

そこから当日まで、できるだけ毎日宣伝しようと思って、寄稿者紹介を連載企画っぽく行いました。割と好評で嬉しかったです。

 

当日は、水白雪さんに売り子協力をお願いしました。お互い不慣れな中での作業でしたが、めちゃ楽しかったです。

本のコンセプト的に、端から端まで楽しめるのは僕だけでしたし、買うとしても寄稿者の誰かのファンの方くらいだろうと思っていたのですが、れんれんさんの表紙パワーが凄かったのか、思ったよりも多くの方が足を止めて試し読みをしてくれたり、実際に購入してくれたりしてくれました。

 

コンセプト的にも本を作れた時点でだいぶ満足していて、売れなくても全然いいやという気持ちでいましたが、 実際に買ってもらうととても嬉しくて、単に500円を得たという事実だけでない何かがありました。これがコミケなんだ、と感じました。本当に、本当に嬉しかったです。

 

 

数字と総括

 

最後に数字の概算です。本来は表に出すものではないとは思うのですが、備忘録として書かせてください。

■支出

  • サークル申込費 9000円
  • 印刷費 74000円(B5サイズ92P・150部+サービスの余部10部)
  • スペース準備費 10000円

■収入

  • 売上 35500円(500円・71部)

 

数字だけを見ると6万円くらいの赤字ですが、もともと黒字にしようとは思っていませんし、体験料と経験料がプライスレスすぎたので全く後悔していません。

 

 

全体を振り返って、サークルを立ち上げて本を作って、本当に良かったです。

もっとやれたこと、もっとやるべきだったことは山ほどあると自覚した上で、自分で点数をつけるならば100点だと思います。『ノンフィクションコンパス』は素晴らしい本になりました。

 

『こえ部』の打ち上げで、主宰のばんばさんに「悔しい」と言われました。いつか『こえ部』がやりたかったテーマを先にやられて悔しいと。

僕の目標は『こえ部』です。それは中身的な部分についてではなくて、完成度とか体裁とかの、編集者の努力で向上できる部分についてです。

それと同時に、『こえ部』は僕の憧れです。ずっと追い続けたい存在ですし、一生追いつくことはない存在です。なんかこう、いい感じに仲良く長くお付き合いできればと思います。あんまりバチバチしたくないです。『こえ部』と『こえ部』に関わる皆さんが大好きなので。

 

今年の冬はスケジュール的に厳しいので見送りますが、2020年の春に開催されるC98では、第二作を作る予定です。既にタイトルやコンセプトは決めています。

今後も、まずは僕が読みたい本をつくることを忘れず、そのコンセプトにうっかり興味を持ってしまった物好きの心を震わせられるようなものをつくれるように、楽しくサークル活動を続けられたらと思います。

 

 

 

死ぬほど時間を書けた割に中身のないブログになってしまいましたが、読んでくださってありがとうございます。そして、もしかしたら手にとっていただいた方もいるかもですね。本当にありがとうございます。

 

寄稿者の皆さんひとりひとりにお返事を書こうと思っていたのですが、さすがに長すぎるので別の機会に。

それでは!