せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

20231203/映画『正欲』

  • 日曜。休日。
  • 冒頭の擬音シリーズ、今回からはやめます。単純に飽きたのと、実は考えるのに時間がかかっていたので……。
  • 10時くらいに起きてご飯を食べ、友達とのランチに出かける嫁さんを見送り、軽くスプラトゥーンをして出発。映画『正欲』を観ました。以下、あらすじの一部を抜粋。

同じ地平で描き出される、家庭環境、性的指向、容姿     様々に異なる背景を持つ5人。だが、少しずつ、彼らの関係は交差していく。

まったく共感できないかもしれない。驚愕を持って受け止めるかもしれない。もしくは、自身の姿を重ね合わせるかもしれない。それでも、誰ともつながれない、だからこそ誰かとつながりたい、とつながり合うことを希求する彼らのストーリーは、どうしたって降りられないこの世界で、生き延びるために大切なものを、強い衝撃や深い感動とともに提示する。いま、この時代にこそ必要とされる、心を激しく揺り動かす、痛烈な衝撃作が生まれた。

ーーもう、観る前の自分には戻れない。

映画『正欲』公式サイト

  • これ、気になるタイトルやねと思いつつ、最近は腰を据えて映画を観るモチベが落ちていたので、まぁ観なくてええか〜と思っていたところ、フォロワーから「1人でも、大切な人とでも是非」とオススメされたので、ほなら観るか〜となった次第。ちなみに嫁さんはあんまピンときてなかったので1人で観ました。
  • めちゃくちゃ良かったです。内容的に万人に薦めるのは難しいけど、俺は観てよかった。公開館もだいぶ少なくなってきているので、興味がある人は急ぎましょう。
  • 以下、ネタバレあるかもなので回避用に画像を貼ります。次の岡田監督までが感想パートです。

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  • 印象に残ってるところを中心につらつらと。
  • 新垣結衣さん、芝居が上手い。『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』以来、17年ぶりに彼女の芝居を見たのだけど、めちゃくちゃ良かったです。

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  • にしても当時(18歳)のガッキー、可愛すぎるだろ。ちなみに私は新垣結衣さんと誕生日が同じです。
  • と書きながら思い出した。『コードブルー』も見てたわ。いずれにしても10年以上ぶりのガッキーでした。ちなみに私は新垣結衣さんと誕生日が同じです。
  • 稲垣吾郎、こういうカタブツ系の役をやらせるとハマるよなぁ。あの、目元をピクッとさせる感じ。本当に絶妙で良い。
  • 私が普段ドラマを見ないこともあって、その他の役者さんは知らない方ばかりだった(黒猫チェルシー渡辺大知を除く)。そんな中でもええなぁと思ったのは磯村勇斗さんですね。生っぽい芝居が好きなので……。
  • 役者についてはこんな感じ。以下、もの方について。
  • 鑑賞後に素直に思ったのは「俺はラッキーだったな」ということでした。それは、マイノリティの方が可哀想とかではなくて、今この時代で疎外感を抱くことなく過ごせていることが、純粋にラッキーだなと。
  • それは元々、私自身が「恋愛って何?」という違和感を持ちながら青春時代を過ごしていて、そんな時にうっかり嫁さんに出会って、結婚して、「普通」の暮らしをしているという背景があるからこそ思った感想なのかなと。更に言うなら、二子玉川という、映画館から一歩出たら「普通の家族」がたくさんいる土地で鑑賞したというのも、そんな感情を増幅させたように思います。
  • あと、帰ってから「こんなところが良かった」と嫁さんに説明をしながら腑に落ちたポイントをいくつか。
  • 小児性愛者は罰されるのに、「水フェチ」は罰されないの、なんか虚しいなと思った。どちらもが性的指向なんて言ってしまえば「運ゲー」みたいなものだと思っていて、たまたまそれに勝った人が「普通の」指向を持ち、負けた人がマイノリティに属するわけだけど、そのマイノリティの中でも「法で罰されるか、否か」という「運ゲー」があるという、この虚しさたるや。その分岐点は「他人に迷惑をかけるかどうか」なんだろうけど、その「迷惑」って結局マジョリティの視点に立った解釈でしかなくて、こんな世の中っておかしいだろと思わんでもない。
  • 同じく「水フェチ」の中でも、「勢いのある水フェチ」「人工的に歪められた水フェチ」「水に濡れる衣服フェチ」の3つが描かれていたのはイイですねポイントだった。マジョリティとされている人でも、どこにフェチを感じるかは十人十色だしな。ということは、マジョリティなんて存在しなくて、みんながみんなマイノリティなのかも、とも思ったり。うーん。
  • 桐生夏月(役:新垣結衣)だけ、性的指向が明言されていないのが上手いなと思った。多分、マジョリティである寺井啓喜(役:稲垣吾郎)が一般的には感情移入先になるんだろうけど、それが徐々に夏月に移っていく余地があるというか。夏月はアバンのシーンで水音を聞きながらオーガズムに達していたし、間違いなく「水フェチ」なんだろうけど、それだけじゃなくて破壊衝動があったり、「セックスごっこ」に誘ったり、「普通のデートみたいだね」みたいな台詞があったり、どこか親近感が湧くというか、うまいキャラクターだった。
  • その「セックスごっこ」がめちゃくちゃ良くて。なぜなら全然エロくなかったんですよね。そもそも脱がないし。「M字開脚ってこういうことなんだ」「トレーニングみたいだね」とか言うし。このエロくなさ、本当に素晴らしかったです。
  • 神戸八重子(役:東野絢香)がもろはし大也(役:佐藤寛太)に対して告白めいたことをするシーンもよかった。「わたしは男を好きになるけど、男から向けられる性的視線が耐えられない。だけどあなたはそんな視線を私に向けない。だから私はあなたがだいじだ」みたいな告白。それに対して、自らの性的指向(水フェチ)を明かすことなく、「俺は一緒にいる人を見つけたから」みたいな言葉を置いて去っていくという一連のシーン。
  • これ、ふたつ良くて。ひとつは、たぶん大也からすると八重子のは「マジョリティ寄りのマイノリティ」なんですよね。だって、言っても異性愛者だし。自身が持っている「水フェチ」なんかより余程メジャーです。だから「いやー!ありがとう!オレ実は水フェチでさぁ」なんて言えるわけもなく、去るしかないんですよね。
  • ふたつめはごく個人的な側面で、嫁さんに対する感情が分からなくなったときに「だいじ」という名前をつけることで救われたなぁという実体験があって、それと同じ言葉を八重子が使ったことに、めちゃくちゃ共感してしまった。恋とか愛とかで表せない感情を、八重子は大也に抱いたのかなぁと。
  • そんな告白シーンみたいに、マイノリティ同士が繋がりたいと願う描写が何度かあって、実際に「水フェチ」の3人はそういうコミュニティを形成するわけだけど、ラストシーンでの「いなくならないからね」という夏月の伝言は「そういうことか」と膝を打ってしまった。たぶん、「繋がりたい」のではなく、「ひとりじゃないと思いたい」ということなんでしょうね。人間の性というか、社会的動物としての本能というか。そこにどうしようもない虚しさがあるんだろうけど。
  • という感じで、本当に良かったです。

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  • 映画のあとはデパ地下で御座候を購入。
  • 帰って、嫁さん実家の皆さんと電話をしたあとに食べましたが美味しかったです。今川焼きだか回転焼きだか大判焼きだか知らんけど、本質にあるのは名前ではなく味わいですからね。何事も。

 

  • 夜は豚の生姜焼き。相変わらずの激ウマです。カブも食べたよ。冬やね。
  • お風呂入って今。感想が長くなったな。寝ます。