せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

20221127

うた‐かた【泡沫】

① 水の上に浮いているあわ。水あわ。

② はかなく消えやすい物事のたとえ。

 

  • 日曜。休日。
  • 起きて寝てを繰り返し、11時くらい活動開始。今日は『UTA-KATA Vol.2 〜歌売りの少女〜』昼公演に参加します。
  • 山梨・東京・大阪(公演中止)・滋賀の4会場で開催されてきた本公演の、今回は追加公演です。

UTA-KATA Vol.2 TOP | 株式会社ハートカンパニー

  • 『Vol.1』がYouTubeで無料配信されているので、遅ればせながら視聴しながら支度をする。なるほどなるほど、こういう催しなのね。

  • UTA-KATA』というプロジェクトは、声優・石川由依さんがひとりで歌や芝居を届ける音楽朗読劇です。ちなみに、ピアノ等を生で演奏するのは伊藤真澄さん。
  • 私は石川由依さんのめちゃファン、というわけではない(『進撃の巨人』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の人、という印象くらい)(にわかofにわか)。ではなぜ足を運んでいるのかというと、「このプロジェクトを主催しているのがハートカンパニーだから」なんですね。
  • ハートカンパニーは、斎藤滋さんが代表を務めている音楽プロデュース会社。ちなみに知る人ぞ知る豆知識ですが、斎藤滋さんは、私が尊敬する人のひとりです。
  • そのきっかけは、2017年秋に配信された「たっちレディオ」に斎藤さんがゲスト出演したこと。もう有料アーカイブになってしまっている回なのと、ラジオの書き起こしはあんまり好きじゃないので詳しい記載は控えるけど、トークを聞いて「こんな人と仕事をしてみたいな」と、学生ながら思ったんですよね。

たっちレディオ 326-350 | tacchiradio

  • で、とにかくそんな感じな印象を持っていて、毎朝更新される(すごい)ブログも読んでいます。その中でも今回ピックアップするのは、今年6月30日の記事からこちらの一節。

音楽ってやっぱり凄いんだよなと思ったのです。ほんの数小節の旋律が人をこんなにも興奮させて感動させるのです。映像における演出の最後の砦は音楽だ、と常日頃から肝に銘じて仕事しておりますが、時々こうやってファンとしての興奮を味わうことで、強く再認識するのです。音楽は記憶を掘り起こすとも言いますよね。昔聞いていた音楽を聴くとその当時の記憶が一瞬で蘇ると。人の気持ちにこういう作用を及ぼすツール(っていう言い方はちょっと違う気もするが)ってのは他に無い。

音楽は最大の演出だったよコーホーコーホー | 株式会社ハートカンパニー

  • ほんとそうだよなと思っていて。まさにアニメや映画の主題歌なんかもそうですよね。普段過ごしていて昔の作品を思い出すことはあまりないけど、曲を聞くと鮮やかに物語やキャラクターのことを思い出します。
  • 例えばフェス。新しい曲を披露してくれるのも嬉しいけど、そうでない曲を披露してくれるのも、別の意味で嬉しいなと思う。その理由は上に書いたように、思い出させてすれたりとか、仲間と語らうきっかけをくれたりとかするから。つまり、「歌い継ぐ」ことと「語り継ぐ」ことには、深い関係があるんだよな、と常々思ったりしています。
  • そういう価値観を音楽に対して抱いている(と思っている)斎藤さんが

いやはや、凄い。新しい文化を創っている。

UTA-KATAはやはり凄かった | 株式会社ハートカンパニー

  • と表現し、プロデュースする企画を一度体験してみたいなと思い、追加公演のチケットを購入しました。
  • では行ってきます!

 

  • 終わった。すごかった……。まさに会場の窓のステンドグラスのように、きらきらした粒子が満ちた空間だったな。
  • 確かに『UTA-KATA』をひと言で表すならば「音楽朗読劇」なのだろう。そう説明すると非常にシンプルなんだけど、シンプルであるが故に奥が深い。
  • 会場もよくあるようなところではなく、周囲の景観含め考えて選定されているのが伺えた。つまり、雰囲気がめちゃくちゃ良かった。品川から歩いてすぐにこんな場所があるなんて。

 

  • お話について言及する。
  • 本編丸ごと無料公開されているので詳しくはそちらを是非見てほしいんだけど、『Vol.1』で描かれていたのは、歌を歌う吟遊詩人と共に旅を続け、やがて自らが歌い手となり、吟遊詩人が去ったあと、その吟遊詩人のことを歌い継ぐ決意を固める少女の物語だった。
  • そして『Vol.2』は、親と生き別れた少女が、「歌売り」を名乗る子と不思議な共同生活を続け、そしてその中で親の愛を受け止め、歌売りの子がいなくなった後、自らも歌売りとして歩み出す……という物語。
  • どちらも共通しているのは、まさに「歌い継ぐ」「語り継ぐ」という魂で。それがハートカンパニーという会社のプロデュースによって紡がれることに、強い必然性と説得力を感じました。
  • そしてその魂は、作品世界の中で留まらない。『Vol.1』『Vol.2』の両方で披露された楽曲にして、物語を締めくくる楽曲である『泡沫の祈り』にて、石川さんは客席のひとりひとりを見つめながら歌詞を紡いでいた。それまでの90分間はどこか遠く(=作品世界の中)を見ていたのに、最後の5分間だけは。そして投げかけられるその言葉は、「第四の壁」を超えて我々の目に、耳に、心に響く。ハッとさせられる。本当にすごい。
  • ドームやアリーナで大規模なフェスを開催するのはとても素晴らしいことだけど、こういう、届けるべきものが届く適切なキャパシティで行われる芸術のことも、等しく尊敬しています。
  • UTA-KATA』を多くの人に体験してほしいけど、それはキャパを広げる方向ではなく、公演数を増やす方向で実現してほしいな、と願っています。ドームで「目があった」と感じるのはなかなか難しい。そのぶん運営上の負担は増えてしまいそうだけど、これはそういう催しだと思う。

 

  • はかなく消えゆく者の物語を、歌で語るということ。それはとても切ないけどあたたかくて、触れると弾けてしまう泡のように繊細で。張り詰めた空気の中で、手に汗握るような緊張感の中で、そこにあるのは、数々のプロフェッショナルが凝縮された美しさでした。
  • 素晴らしいイベントだった。これは確かに「新しい文化」ですね。

  • そしてこれは超余談にして最重要事項ですが、石川由依さんはめちゃくちゃ綺麗でした。まとっているオーラ、お芝居や歌のパワー含め、なんかもう、とてつもなく美しかったな……。

 

  • 夜は日本代表の試合を見る。悲しいね……残念だね……。次は勝ちましょう。
  • おわり。明日はたくさん働きます。