せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

映画『シドニアの騎士 あいつむぐほし』感想

2021年6月4日(金)より新宿バルト9ほかにて公開された映画『シドニアの騎士 あいつむぐほし』の感想です。

 

 

■概要

 

■映画の感想、の前に自分語り

 

全ての感情はこの「ありがとう」に集約されるのですが、ここからその中身について、初見の感想をウワーっと5,000文字にわたって書き殴ります。ちなみにネタバレはゼロです。

ま、暇な人だけ読もう!知らんからな!!

 

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まずは改めて、本当に本当に、製作陣の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。TVアニメ第1期で『シドニア』を知ってから7年間、ずっと大好きでいられて、そしてこの結末を見届けられて幸せでした。

 

さて、さっそく自分語りを始めます。TVアニメ『シドニアの騎士』が放送された2014年4月、私は都内の大学に進学しました。これはすなわち、「ある程度の自由」を人生で初めて手に入れたタイミングだったということでもあって、それが私と『シドニア』の関係においてはとても重要なポイントだったなぁと、いま振り返ってみて感じています。

 

中学生のときに『けいおん!』を見てから豊崎愛生さんのファンだった私は、しばらく豊崎さん以外の人に興味を広げようとしていませんでした。金銭的にも時間的にもその余裕がなかった、と言ったほうが正しいかもしれません。

そのまま大学生になろうとしていた2014年3月、今では毎年恒例となっている「AnimeJapan」の第1回が開催されました。REDステージで開催された『シドニア』のステージに豊崎さん目当てで参加した私は、

OP映像も流れましたが、先週の先行上映会に参加していなく初見の自分は衝撃を受けましたね。

これは劇場で見たい…!と思っていたら、4月27日(だったはず)に、「1~3話振り返り&4話先行上映会」を劇場で開催するとか!行くしか!しかも出演者トークイベもあるとか!行くしか!

楽しみな作品になりそうです! 

という感想を抱いていたらしいです(古のブログを遡りました……)(リンクは貼らないぞ)。

 

ここからもわかるように、当時は「どの声優さんが出ているか」によって視聴するアニメを選びがちだったので、そういう意味では豊崎さんが科戸瀬イザナ役で出演されていたことが、まず1つ目の「ありがとう」ですね。豊崎さんが出ていなければ、私は『シドニア』の名前すら知らずに過ごしていたと思います。

豊崎さんのおかげで『シドニア』に興味をもった私は、4月11日からのTVアニメを見て、4月27日の「第一回『シドニアの騎士』宇宙最速上映会」に参加して(豊崎さんも登壇していた)、という流れで『シドニア』に触れていきます。はじめは3DCGのアニメーションに対してアレルギーをもっていた記憶もありますが、実際にアニメを見ていく中でその良さを知り、抵抗感はあっという間に無くなりました。それほどに『シドニア』のTVアニメは素晴らしかったのです。

 

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話は若干脱線します。先述の上映会の前日である4月26日に、あるアニメ映画が公開されました。それが京都アニメーションが制作した『たまこラブストーリー』です。そしてその主人公・たまこを演じるのが、『シドニア』で星白閑を演じる洲崎綾さんでした。

私が『けいおん!』きっかけでオタクの世界に足を踏み込んだのは先ほど書いたとおりですが、そのおかげで、もともと京都アニメーションは好きなアニメスタジオだったのと、山田尚子監督の才能に目をつけていたので、『たまこラブストーリー』には相当な期待をしていました。そして、蓋を開けてみると、その映画は期待を遥かに上回る出来栄えだったのです。結果的に私は『たまこラブストーリー』『シドニアの騎士』の2作品による連続攻撃を受けるかたちとなり、いつの間にか洲崎さんのファンになっていました。

 

この過程の中で、冒頭に述べた「大学進学」が大きな意味を持っていて、おそらく高校生までの私だったら、TVアニメや映画は見たとしても、イベントには行っていないし、豊崎さん以外の人を応援するという発想にも至っていません。それだけ進学がもたらした環境の変化・心情の変化は大きく、とても気軽に色々なことに手を出していたような気がしていて、そのときちょうど『シドニア』と出会えたことが、クサい言い方をすると「運命的だったな」と思っています。

 

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もともと好きだった豊崎さんと、新たに好きになった洲崎さんと、回を追うごとに強く惹き込まれていったTVアニメのおかげですっかり『シドニア』の虜になっていた私は、5月末の「第二回『シドニアの騎士』宇宙最速上映会」にも参加しました。ちなみにこのイベントは「第三回」まで開催されたのですが、最後だけチケット争奪戦に敗れてしまい完走できなかったというホロ苦い記憶が。先着ノウハウが溜まっている今なら……勝てた…………ッ!

そして11月に開催された「『シドニアの騎士』プレミアムイベント」にもBlu-ray先行応募券で当選して参加。ちなみに、TVアニメのBlu-rayを買ったのはこれが初めてのことでした。

翌2015年3月の劇場版(総集編)を経て、4月から放送された第2期『シドニアの騎士 第九惑星戦役』もワイワイと楽しみ、やっぱり「宇宙最速上映会」は3回中2回だけ参加し(悔しい)、第2期の放送を終えた頃には、京都アニメーションと同じくらい、ポリゴン・ピクチュアズは特別なスタジオになっていました。そういえば『シドニア』と『楽園追放』のスタッフトークショーにも参加したなぁ。

 

シドニア』のアニメーション展開がひと区切りして以降、ポリゴン・ピクチュアズが制作した『亜人』『GODZILLA』『BLAME!』も視聴。その全てに洲崎さんが出演していて、私の好きな人が、私の好きな作品をきっかけにお仕事を繋いでいっていることがとても誇らしかったのを覚えています。さらに言うと、『BLAME!』には豊崎さん、そして雨宮天さん(洲崎さんの少し後、2014年6月頃にファンになっていました)も出演していて、「俺のための映画か……!?」と感じたり。岩浪さんはじめ音響スタッフさんの拘りが詰まったサウンドを聴き比べるために、南関東の劇場に足繁く通ったりもしました。

 

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そんなこんなで時は流れ、私も社会人になって数年が経った2020年7月3日、『シドニアの騎士 あいつむぐほし』の制作が発表されました。もう続きを見られる機会は無いと思っていたので、また長道たちに会えるのが本当に嬉しかったです。

2020年といえば、ですが、日に日に世界が変わっていく世の中でも、私は割とウッキウキで日々を過ごしていました。それは何かに縛られたり何かを呪ったりせずに、自分の心が躍ることを見つめ、与えられたルールの中で楽しむ、という思考回路が育っていたからなのだと思います。そして、そう思うようになるキッカケをくれた存在のひとつが、ほかでもない『シドニア』です。

 

3DCGの映像を楽しむこと、好きな人を増やすこと、アニメのイベントに参加すること、Blu-rayを買うこと、スタッフさんのお話を聞くこと、劇場ごとの音響を聴き比べること。そんな魅力あふれる体験を、全て『シドニア』が教えてくれました。例えるならば、『シドニア』というひとつの大きな木に、ワクワクする枝葉がたくさん付いているような感じです。もしかしたら他の作品にも似た枝葉は付いているのかもしれませんが、そういう細部に目を向けたくなるほどに、私の目には『シドニア』という木が魅力的に映りました。

もちろん、先ほど書いたように大元のキッカケ(言うならば「根」の部分)は豊崎さんですし、その豊崎さん自身も「何かと何かの架け橋になること」を大切にされているのですが、そんな豊崎さんの考えに惚れ込む私にうまくフィットしてくれたのが『シドニア』だったように思います。だから、やっぱり運命なのかもしれません。

 

そんな感じだったので、公開延期を受けてもそれほどショックは大きくなく(製作陣からするとヒヤヒヤだったと思いますが)、「ま、ほかの楽しいことしてりゃいいか」くらいの自然体な気持ちで、6月の公開を迎えられました。

 

 

えー、やっと『あいつむぐほし』の話ができます。自分語りが長くてすまんが俺は俺の話が大好きなんだ……!許せ!!!

 

 

■映画の感想、というか、やっぱり自分語り

 

アニメって、物語って、何もしなければ何も生まれないんです。

 

それって当たり前のことかもしれないけど、ちょっとした木漏れ日の揺らめきとか、何気ない傷跡とか、聞き逃してしまうような足音とか、そういうひとつひとつの描写は誰かの意志のもとに生み出されいて、その原動力になっているのは「拘りと魂と愛」で、それはつまり、人生を浴びているのと同義だと思っています。

そして「物語」ということは「モノで語る」ということで、だからひとつひとつのモノ(物/者)が意味と言葉を携えて、1コマ=24分の1秒に凝縮されているんです。アニメってそういうエンターテインメントで、私はそこに強くロマンを感じています。

シドニア』では「3DCG」の技術が主に採用されていて、そうと聞くと「お手軽」「コピペ」「手抜き」といった印象を持たれがちだけど(実際、私も最初はそう思っていた)、全くそんなことはなくて、CGだって手描きのアニメと同じくロマン溢れる表現方法なんですよね。先ほど書いたように、私にそう教えてくれたのは『シドニア』です。

 

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講談社弐瓶勉先生が「0から1」を生み出して、製作委員会のみなさんが「1をもっと大きくしよう」と思って、ポリゴン・ピクチュアズさんはじめアニメスタッフの皆さんが「1を10」にして、宣伝担当とかグッズ担当とか放送局とか配給会社とか劇場スタッフとかの把握できないくらいたくさんの皆さんが「10を100」にしてくれたおかげで、私は『シドニア』と出会うことができました。

映画のエンドロールにはそういうたくさんの人の名前が載っていて、きっとそのひとりひとりが『シドニア』と関わっていく過程で色々なストーリーを帯びているのだと思います。出世しましたとか、はじめての仕事でしたとか、夢を叶えましたとか、前任から引き継いで頑張りましたとか、このツイートは俺が考えたんだぞとか。

なんというか、そういうのをエンドロールを見ながら想像していて、「あなたのおかげで今の私がいるんやで……!」と、ひとりひとりの名前を見ながら思っていました。

 

長道はシドニアを守った「シドニアの騎士」です。でも、作品名の『シドニアの騎士』は『KNIHGTS OF SIDONIA』と複数形で訳されていて、これは「イザナや纈や小林艦長や他の船員も、ひとりひとりが誇り高きシドニアの騎士なんだよ」だと示している、というのが私の解釈です。そしてそれは、キャラクターたちだけでなく、関わるスタッフの皆さんにも言えることだと、私は勝手に信じています。

 

だからこれは、勝手にあなたの人生を浴びて、勝手に私の人生に革命を起こされて、勝手に感謝しているだけ。それでも、その感謝をあなたに、シドニアの騎士たちに伝えたいのです。

 

本当に本当に、ありがとうございました。

 

 

……これが『あいつむぐほし』の感想かよ、という感じもしなくはないけど、私が抱いた初見の感想がこれだったのだから許してください。細かいところはまたいずれ書く、かも。

 

 

 

 

さて!明日は2度目の鑑賞です。 楽しみだ!!