せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

雨宮天 3rdアルバム『Paint it, BLUE』感想

2020年9月2日に、雨宮天さんの3rdアルバム『Paint it, BLUE』が発売されました。

www.amamiyasora.jp

 

 

 

 

【収録曲】

01. Paint it, BLUE -overture-

 作曲:荒幡亮平

02. Fluegel

 作詞・作曲・編曲:塩野 海

03. Defiance

 作詞:TOMO 作曲・編曲:中野ゆう

04. Catharsis

 作詞:上坂梨紗 作曲:NA.ZU.NA 編曲:ArmySlick

05. Queen no' cry

 作詞:森村メラ 作曲・編曲:アッシュ井上

06. VIPER

 作詞・作曲・編曲:塩野 海

07. 火花

 作詞・作曲:雨宮 天 編曲:荒幡亮平

08. Next Dimension

 作詞:大森祥子 作曲・編曲:Saku

09. PARADOX

 作詞:藤原優樹 作曲:編曲:トミタカズキ

10. Song for

 作詞・作曲・編曲:塩野 海

11. 蒼天のシンフォニア

 作詞:アッシュ井上・しらゆき美優 作曲・編曲:アッシュ井上

12. Regeneration

 作詞:KOUTAPAI 作曲・編曲:saku

13. 雨の糸

 作詞:上坂梨紗 作曲:Franz Liszt川崎里実 編曲:家原正樹

 

 

【前置き】

CDだけ一周した感想を置いておこうと思って、こうしてブログを書いています。

 

「『Queen no' cry』のYouTubeに上がってるMVを1度だけ見た」「『火花』が収録されている」「大森祥子さんが作詞している楽曲がある」の3つだけを事前知識として持っていて、曲順はもちろん楽曲名も見ずに一聴しました。

 

 

【全体について】

13曲で52分。うち1曲がoverture。聴き終えた最初の印象は「聴いてて疲れるアルバム」というものでした。

それは悪い意味じゃなくて、雨宮さんの楽曲にはそういうものを期待しているし、そういうものを目指してるんじゃないかなぁみたいなふうにも思ったりしている。わからんけどな。

 

 

【それぞれの曲について】

厳かなピアノのovertureで始まり、何を仕掛けてくるのかと思ったら2曲目でいきなり南国の島にぶっ飛ばされたような感じ。意味分からん。

で、3曲目はシングル曲の『Defiance』。ここの繋がりはとても良かったですね。『Defiance』はストレートなシングル曲という印象があって、それが3曲目にいてくれるのは安心感があるというか、きちんと前半の柱になっているなぁと思いました。

 

4曲目は都会の路地裏にいるずる賢い猫みたいな印象。いい声で歌ってますねぇ。

からの5曲目に、ようやくリード曲『Queen no' cry』が登場。ほんといい曲~!MVを先にチラ見しているのもあってか、土煙を立てながら爆走する景色が浮かびます。

で、6曲目にシングル曲『VIPER』。『Queen no' cry』を聴きながら「このあとは『VIPER』来てほしいな~」と思っていたら来てくれたので嬉しかったです。『Defiance』とは違った方向で(雨宮さん的に)ストレートな路線なので、「そうそうコレだよコレ」と戻してくれるのはシングル曲の強みですね。

 

ここまで、overture含めて6曲の流れが本当に良いなぁと思います。振り幅がエグいし、でもちゃんと雨宮さんを感じられるし、それぞれの音の分厚さもちゃんとあって。

 

「これのあとはさすがに『火花』やろ」と思ってたらちゃんと『火花』がきた。嬉しいその2!

編曲家って偉大だよな、ほんと。もっと世間がクレジットの「編曲」に注目すればいいのに……と最近よく思う。

 

8曲目のイントロが流れた瞬間に「あっこれは大森さんに作詞しててほしいイントロだ」と思ったらちゃんと大森さんが作詞していた。嬉しいその3!

もう少しサビがぱーんと開けるような鳴らし方をしてくれたら万歳三唱してたんだけど、ちょっとだけ惜しい感じ。個人的にはね。

ただアルバムの中でこの曲がここにあるのはとても重要で。というのも、雨宮さんの楽曲の中で圧倒的に異質な『PARADOX』をアルバムに馴染ませるために、この楽曲のテンション感はあまり上げすぎてもいけないんですよね。分かりやすく言うと、『チョ・イ・ス』から『PARADOX』は繋がらないんですよ。

 

だから、次に『PARADOX』が来てくれないと説明が成り立たんぞと思っていて、ちゃんと来てくれたので、嬉しいその4でした。

『PARADOX』は楽曲としてめちゃくちゃ強いわけではない(もちろん良い曲ではある)と思っているんですが、雨宮さんのアルバムは強くある必要があるわけで。だから、『PARADOX』の置きどころはやっぱり7~9曲目のあたり(いわゆる箸休めゾーン)が相応しいんだろうなぁと思います。

 

次に『Song for』が来たのはちょっと予想外でした。ここまでカップリング曲がひとつも無くて、今回はそういうアルバムづくりをしたのかな?と思っていたので。

でも、使っている声域が割と『PARADOX』に近いんだなぁという印象もあって、意外と並ぶと相性がいい感じも受けました。

 

次の『蒼天のシンフォニア』はストリングスが強めに入っていて、アルバム全体を終わりに向かわせるような、クライマックス感を演出するような役割があるのかな?という印象。曲単体ではあまり好みではなかったですね。

12曲目の『Regeneration』はさすがに締めてくれるなぁと思いました。これがくると終盤だなぁという感じになる。TVアニメのED主題歌ってすごいね。

 

ラスト13曲目。「疲れたでしょう」とかいう歌詞があって「分かってるやんけ」と笑ってしまったよね。という冗談は置いといて、何故これがこのアルバムに収録されているのか、しばらく分からなくて。

いろいろ考えたんですけど、「優しくしたかったんじゃないかな」と思ってですね。アルバムを手に取ってくれた人にも、自分自身にも、世の中にも。

もっと踏み込むと「守りたい」「救いたい」なのかもしれない。なんかそういう慈悲深さというかね、そういうものがあるような気がしてならないんですよね。前作『The Only BLUE』の最後に『誓い』を置いたのと似た意図があるのかも。唯一カップリングから『Song for』を収録しているのも同じ理由なのかなぁ、みたいな。

それが雨宮さん自身のものなのか、そういう人間を雨宮さんが演じて歌っているのかまでは分からないんだけど、「こんなことするんだ~面白い人だな~」と思いました。

 

 

【総括】

13曲をブロック分けすると「1~6」「7」「8~10」「11~12」「13」という印象です。個人的には7曲目までがすごく好きですね。

 

共通したコンセプトみたいなのはあまり感じ取れなかったんだけど、「雨宮さんが今やれること」「今やりたいこと」を詰め込んだアルバムなのかなと思って、それは5周年を終えたタイミングで発売するアルバムとしてはぴったりなんじゃないかなぁと思いました。

 

あとは、TrySail(ソロも含む)のフルアルバムでは、これまでずーっと「前作アルバムが発売された以降の楽曲は全て収録する」を徹底してきたんですが、ついにその法則が崩れましたね。シングルカップリングの『一番星』『VESTIGE』の2曲が収録外となりました。

これはまぁどっちでもよくて、新規の人は「アルバム買っとけばいいのか」ではなくなるのでちょっと困るかなと思いつつ、昔からの人は「新しい曲が増えて嬉しい」なわけで。そっちの方向に舵を切ったのかな、という印象を持っただけです。

それに、これまでの法則を覆してまでして入れた楽曲には深い意味があるはずで、それが先述した「今やれること、やりたいこと」に繋がっているのだとしたら、これほど幸せなことはないと思うんですよね。

 

だから、まとめると「めっちゃいいアルバム」というシンプルな一言に落ち着きます。雨宮さんを好きで良かった。

 

 

で。ここから下は、13曲目を聴いた僕の妄想なんですが。

ご本人もよく言っているように、基本的には「戦う」「挑戦する」「攻撃的な」アーティスト活動だと思っています。でも、いつからか「守る」「寄り添う」「癒す」要素も色濃くなってきた印象もあるんですよね。

 

初の接近戦(で合ってるよね?)だった、2016年夏のTrySail 1stアルバムのリリイベ以降だと勝手に思ってるんですが、ファンのことを味方と認識してくれているような気がしていて。

その後、2017年に「雨宮天 音楽で彩るリサイタル」という前代未聞のイベントがあって、それすらもファンが喜んでくれて、雨宮さんの中でその認識が確信に変わっていったのかなぁ。リリイベでもタメ語で話してくれたり、「内緒ですよ」といたずらっぽく微笑みながらすごくプライベートな話をしてくれたりすることが増えました。

 

そしてそれが決定的になったのが2020年の1月の「The Clearest SKY」で。自分が自分の理想を追い求めることがファンの喜びなんだというのは認識しつつも、寄り添いたい、歩み寄りたい、守りたいの気持ちが芽生えたりしたのかなぁ。

雨宮さんは頭のいい人だから、自分の存在が誰かの生きる理由になっていることを、ちゃんと自覚していると思うんですよね。そういう人を、これまでは拳を突き合わせて受け止めてきたけど、最近は両手を広げて受け入れてくれるようにもなったのかな、みたいな。

 

自分はそういう風に感じました。真偽は知らん。完璧超人に見えてすごく人間味のある人だから、本当に面白いんだよな。

 

 

さーて!インタビューを読んで答え合わせをしてくるとするかな!!!

natalie.mu

www.lisani.jp