せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

20190824

  • 休日である。
  • 9時に起きて、シャワーを浴びて、YouTubeを見て、昼頃に家を出て、舞台を観て、2回目の「天気の子」を観て、これから舞台を観る。有意義な1日である。

 

  • 昼に観た舞台は劇団空感演人による「はいすく〜る高校〜Return〜」という作品である。

Air studio Official website

  • 知り合いが出ているので誘われて観に行ったタイプのやつである。
  • 会場キャパは80名弱で、ほぼ満席であったが、年配の方々が多く、出演者の親戚なのかな?という感じだった。もちろん若い客もいたが、ここまで客席の年齢層が高い舞台は初めてだった。ちなみに出演者は20代がほとんどだった。
  • 作品について全然詳しくないのだけど、returnと付いてるし、軽く調べると7年前の公演情報が出てくるし、あらすじにも「7年経っても卒業できない」とあるし、7年前と同じ世界線の話なのだと思う。
  • 当然7年前の作品は知らないのだが、少なくとも今回の作品はとても良かった。と思えたのは後半も後半になってからだったのだが。あ、ちなみに公演時間は90分ちょうどだった。
  • んー、個人的には舞台上と客席が完全に隔絶されている作品が好きで、いかにも「演じてますよ」「客席にセリフを届けてるんですよ」という演技が苦手で、いわゆる生の演技が好きなのだけど、今作は意図的に客席に対して投げかけるメタ的な発言が多くて、序盤はその度にウッ!と拒絶反応が出てしまった。
  • 例えば、「このシーン長いんだから早く次に行かないといけないのに!」のようなセリフだったり、「今日客席に姉ちゃん来てるんだから!」というセリフ(これはアドリブだろうが)だったり。あとは出演者の身体の向きもそうだったなぁ、話しかける相手は、共演者ではなく客席ですよという狙いが見えた。
  • そういうのが苦手で、極端な話、セリフは客席に聞こえなくてもいいと思っているくらいである。いや、よくはないのだが、聞こえなくても進行上問題ないが、人物同士の関係性を示すために必要なセリフとかはあるはずで、なので、メインの人物が話している裏で、モブキャラがわちゃわちゃしているのに注目しちゃったりする。
  • 話を戻すと、今作はその垣根を軽率に飛び越えてくる作品だった。
  • インディーズ(とあえて表現します)の作品にありがちな演出で、その目的は理解できる。客席も舞台慣れしてる人が少ないだろうし、コミュニケーションを取った方が場も盛り上がる。まぁ、若いバンドがオーディエンスに対してジャンプやクラップを求めるのと似ているかもしれない。
  • 舞台始まる。いったん終わり。
  • 舞台終わり。ブログ再開。
  • で、私はそういうのが苦手なのだが、物語が進むにつれて、まぁそういうのもたまにはいいかなと思ってしまった。
  • 麻痺してしまったのかなんなのか分からないが、こう、巻き込んでやるぜ的な意志が中途半端なものではなく、割と本気で感じられたからである。その例として、担任の先生が挙げられる。
  • 題名の通り、本作は高校が舞台である。高校が舞台の作品なのだが、観客の多くは大人である。しかし上記のように巻き込んでやろうという意図が感じられる。巻き込むためにはある程度感情移入できる人物が必要になる。そこで担任の先生である。
  • 役柄的に大人の代弁者とは言えない感じではあったが、ずっと白Tシャツを着ていた先生が、ラストの文化祭のシーンでは赤Tシャツを着ていた。それは文化祭の公式Tシャツであった。他の登場人物全員が赤Tシャツを着ているわけではないのに、先生はそれを着ていた。それを見て、それまでの85分間が理解できたような気がした。
  • たぶん、これはこういう作品なのだ。大人を高校生にしてしまう作品なのだ。それが嬉しかった。
  • あと、音楽が良かった。転換中のBGMが全てブルーハーツだったのである。作品にも合っていたし、客席のおじさんおばさんの心を青春時代に返すという目的があったのかもしれない。これは考えすぎかもしれないが。
  • とにかく、楽しかった。良い作品だった。

 

  • まずい、長くなりすぎた。天気の子については短くいく。
  • 作品の中身については今更語る必要はないだろう。私はこの作品が好きなのだが、何故好きなのかを、2回目の鑑賞を終えて理解できたので書き残しておく。
  • 私は、みんなが見ているものが好きである。
  • と書くと浅い奴みたいだが、なんというか、老若男女みんながひとつの作品を見て、各々に色々な感情を抱いているその様が好きなのである。
  • 今日、左隣には20代後半のカップルか夫婦かがいた。終始手を握って映画を観ていた。
  • 右隣には親子連れがいた。娘さんは「ネコ、おっきくなった!」などとわーきゃー言いながら見ていた。
  • 前には大学生くらいの男友達がいた。終了後、「あれ、君の名は。のキャラだよな!」と盛り上がっていた。
  • そういうのが好きなのである。
  • 私は、「君の名は。からし新海誠を知らない。「君の名は。」を経て、大企業からの厚い支援に加え、業界全体からの「今年の夏は天気の子を観よう!」という後押しを得た新海誠が繰り出した作品を、みんなで観る。みんなで観て、それぞれの属性に合った感想を持つ。たまらない。
  • 作品性は昔のエロゲだとかなんとか言われていて、それが良いんだ!と主張する人もいるが、私にとってはそんなんどうでもよくて、今目の前に広がるこの世界を生み出してくれた新海誠に感謝したいのである。

 

  • 最後。川尻恵太さんが主宰を務める劇団SUGARBOYによる舞台「タイプ」について。

タイプ – sugarboy

  • んーー、ひとことで言うと良い作品だった。ふたことで言うと、不思議な良い作品だった。
  • もともと川尻さんの脚本は好きだったので認知はしていたのだが、フォロワーさんが公演情報(というか小山百代さんのツイート)をやたらとRTするので、そのツイートに触れるうちに興味を持ち、当日券を購入して鑑賞した。
  • ネタバレあるので、それが嫌な人は閉じてください。その前に言っとくが、感情を揺さぶられたい人は絶対に観てください。毎公演当日券を発売しているので是非。
  • えー、スクロール稼ぎのために小山さんの話をします。
  • 小山さんは阿澄佳奈さんとのダブルキャストなのだが、小山さんを生で見たことがなかったので、小山さんの回を観ようと思った。結果的に初回公演になった。
  • 存在感のある演者さんだと思った。最後にラインナップした時に、「え、こんな小さかったっけ」となったほどである。
  • 軽く調べてみたが、声優としてよりもはるか前に舞台女優としてのキャリアをスタートさせていた。なるほど、納得である。
  • 華やかな演技は当然だが、生っぽい演技も大変素晴らしかった。ここまで魅力的な女優さんは、黒沢ともよさん以来に出会ったかもしれない。
  • 私はレヴュースタァライトを見ていないが、あの題材で主役に選ばれるだけのことはあるなぁと感じた。
  • あと、届いていたお花ひとつひとつに直筆でサインとお返事のコメントが書かれていた。あれはずるい。
  • 以上、スクロール稼ぎでした。
  • 開演前からステージ上に演者がいて、何気ない雑談みたいなことをしているのだが、それすらも伏線的な、前日譚的なものになっていた。
  • 2度入った「休憩に入ります」というアナウンスも演出のひとつで、全く休憩を挟むことなく、2時間15分の公演をやり通した。
  • 作品全体の設定としては、私たち観客は地球を侵略しに来た宇宙人で、演者は地球人代表として宇宙人に「地球人の感情」を説明するために舞台に立っていて、それが失敗すると宇宙人に殺されてしまう、ということになっている。
  • その設定についてはかなり序盤のほうで感づいたので、大きな驚きや裏切りというものはなかった。
  • しかし、設定的に、「はいすく〜る高校」と同じように、舞台上と客席の間に空気の流通があっても良いはずなのだが、それがあまりなかった。なんなら背中を向けてセリフを言っていたりした。聞こえないセリフもたくさんあった。
  • かと思えば、吉岡茉祐さんが突然一般入場口から入ってきて、遅れて入ってきた一般客のフリをして最前列に座り、電話を鳴らし、壇上に上がるなどというとんでもないことをしたりしていた。
  • 2時間15分間、何を見せられていたのかが理解できていない。
  • ただ、確固たる事実としてめちゃくちゃ面白かった。カタルシスがどうとかではなく、すごく、徹底的に揺さぶられた。

 

  • 終わり。エンターテインメントは良いね。明日は舞台を3本観ます。