せーはくの備忘録

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20190429花澤香菜「ココベース」ツアー

2019年4月29日に開催された、花澤香菜さんのツアーに参加してきました。ひっくり返るほど良いライブだったので、それの感想を書きます。

 

 

概要

ツアー名:KANA HANAZAWA Concert Tour 2019 -ココベース

日時:2019年4月29日(月)

会場:新宿文化センター 大ホール

開演:18時00分

終演:20時15分

 

私と花澤さん

私が花澤さんのことを知ったのは2010年。ちょうど9年前のゴールデンウィークに、劇場版「文学少女」を観に行ったのがキッカケである。

花澤さんとの出会いによって私は声優好きとしての人生を歩み始めることになったわけだが、そこから特別好きになったのは花澤さんではなく豊崎愛生さんだった。

もちろん花澤さんも大好きで、ラジオはそれなりに聞いていたし、アニメで声を聞くと「やっぱいい声だな〜」と思っていたのだが、音楽活動を追いかけるほどの熱量ではなかった。上述のようにラジオは聞いていたので、リリースのタイミングとかで新曲は何気なく耳にしていた、くらい。

ほんとにただのにわかなのだが、たまたま暇な日だったからと、東京だったからと、ツイッターのプロモーションツイートで「一般発売チケット販売中!」が流れてきたからという3つの理由で、友人(この人はわりと昔から花澤さんのライブに行っていた)を誘って参加した。

 

「音楽の一部になって歌う」ということ

ここからライブの感想。

アルバムの中で曲名を知っているのが「パン」「春に愛されるひとに わたしはなりたい」くらいだったので、セトリ順に感想を振り返るなんて器用な真似はできない。全体的にふわっとなぞる感じになると思う。

いちおうセトリ。

【セトリ】 花澤香菜 / KANA HANAZAWA Concert Tour 2019 -ココベース- 国内公演 セットリスト - うぃろぅ.log

  

いざ開演。ステージ奥の階段から、ギターの方を従えて花澤さんが登場。なんと花澤さんもギターを持っている。弾けるんか。知らんかったぞ。

定位置につき、花澤さんはギターをかき鳴らしながら華麗にパフォーマンス……しなかった。そう、演奏が死ぬほどぎこちないのである!1小節に1回ストロークするくらいなのである!しかも最初の1曲を披露し終えるとギターは回収されるのである!なんのためのギターだったのか……私は初っ端から大混乱してしまった。

3曲ほど披露し、最初のMC。ここでギターの謎が明かされた。「音楽やってたら、ギターやってみたくなるでしょ!」。そんな感じのことを花澤さんは言った。

なるほど、と腑に落ちた。花澤さんはギターをやってみたかったからギターをやったのだ。これ以上完璧な理由はなかった。この人は音楽を楽しむことができる人だと思った。そしてそれに挑戦する勇気があることも、それを受け入れる土壌があることも素敵だと思った。

 

ギターのほかに1曲目で違和感を抱いたのは、花澤さんの声がそこまで主張してこないことだった。歌詞聞かないマンを自負している私をもってしても「歌詞聞こえづらくない?」と思ったくらい。CDではそんなことないのに。でも、公演が進むにつれてその違和感は魅力に変わっていった。

これまでそれなりにいろいろなアーティストを見てきて、歌についてそれぞれのスタイルを感じてきた。特に声優アーティストは役者という土台があるので、そのスタイルの違いが顕著に現れるように思う。

みんなに歌う人。あなたに歌う人。自分自身に歌う人。空に向かって歌う人。曲の主人公になりきって歌う人。音楽という概念そのものに向かって歌う人。いろいろなアーティストに出会ってきた。

花澤さんは、そのどれでもなかった。自分の声を音楽に溶け込ませる人、それっぽく言うならば「音楽の一部になって歌う人」だった。初めて出会うタイプのアーティストだった。

しかも、並みの人がそれをやっているわけではなく、誰もが認める特別な声の持ち主である花澤さんがそれをやっていることに衝撃を受けた。自分の強みが霞むかもしれないのに、シンプルにアコースティック風にやればそれだけで満足できちゃう声の持ち主なのに。私はそれを花澤さんの圧倒的な覚悟だと受け取った。その覚悟を目の当たりにして、私は本当に驚いた。例えるなら、リオネル・メッシが守備に奔走しているみたいな、中村紀洋送りバントめちゃ上手いみたいな、そんな感じの驚きだった。

すっっっごく失礼なんですけど、花澤さんがここまで本気で音楽をやっていると思っていなかった。あくまで声の活動の延長としての音楽活動なのかと思っていた。

そういう認識で客席を見渡すと、花澤さん同様に音楽偏差値が高い方が多かった。花澤さんが序盤のMCで「自由に楽しんでってください」と言っていた通り、サイリウムの色もばらばら。リズムの乗り方もばらばら。唯一共通していたのは、花澤さんのつくる音楽を楽しむ準備ができていることだけだった。最高の空間だった。

 

花澤さんは公演中のMCで、アーティスト活動8年目に突入したことに触れつつ、「音楽活動がなければ、ここまで声の活動をやれてこなかった」といったことを話していた。ラジオで何気なくその言葉を聞いていたとしたら「ありがちなコメントのやつやん」と思ってしまっていたかもしれない。

その言葉を質量のある言葉として実感を持って受け止められたことが、とても嬉しく誇らしい。そう思えるライブだった。