2017年12月27日に中野サンプラザで行われた、「LAWSON presents 豊崎愛生 Best concert tour 2017~live your Best~」。
12月17日に大阪公演、そして27日に東京で昼夜公演の計3公演が開催され、ファイナルの東京夜公演に参加しました。
概要
開演 19:17
終演 21:40
セトリ。
テーマは"今までとこれから 忘れても残る宝物"。
01.春風 SHUN PU
MC
02.片想いのテーマ
03.パタパ
04.ぼくを探して
05.CHEEKY
06.Dill
MC
07.シロツメクサ
08.ほおずき
09.一千年の散歩中
MC
10.love your life
11.music
12.クローバー
MC
13.オリオンとスパンコール
14.シャムロック
15.叶えたまえ
16.Uh-LaLa
MC
17.ディライト
-Encore-
18.猫になる
19.letter writer
MC
20.君にありがとう
-W Encore-
21.春風 SHUN PU
各曲感想
ステージには8本の柱みたいな灯籠みたいなのがどんどんどーん。
後方にスクリーンはありませんでしたが、幕を下ろしたり上げたりして簡易的な舞台転換ができるようになっていました。
以下、ライブの感想とか諸々。
01.春風 SHUN PU
ブログで「あたまから、みんなと音で繋がります。」と宣言していた通り、いきなりの『春風』でした。
これまでこの曲はライブの終盤のほうで歌われていた印象があって、いきなり合唱かーい!と思ったけどちゃんと声が出て安心しました。
やっぱ良い曲ですね。
02.片想いのテーマ
03.パタパ
04.ぼくを探して
05.CHEEKY
06.Dill
愛生さんは、自分に向けて歌っている時と、観客席のあなたに向かって歌っている時と、ここにはいない誰かに歌っている時があるように思う。「自分」と「誰か」に向けて歌っている時は、ちゃんと顔を直視して表情を見られるのだけど、客席に向けて歌ってる時は、照れて目をそらしてしまうことがわかった
— ケイスケ (@gkeisuke) 2017年12月27日
これは昼公演後のツイートだと思うんだけど、分かる分かると思っていいねをしたんだけど、これだけじゃない気がしていて、それは「音楽に向かって歌っている」ということ。
このパートで言うと、『片想いのテーマ』と『パタパ』がそれに該当すると感じました。
こう、こちらに背を向けてバックバンドを見て「行くよっ!」みたいな雰囲気とか、音符がステップになったような感じとか、とても音を楽しんでいる感じがするんです。
で、このパートはそれだけではなくて、『ぼくを探して』『CHEEKY』『Dill』というやや重めな曲も連続して披露されました。
テーマが「今までとこれから」であることを考慮するならば、前半のポップな感じだけでなくてこういうところも私なんですよ、みたいなメッセージなのかなって思った。
それにしても、『CHEEKY』『Dill』の力強さは何だかとてつもなかった…これまでこの2曲に対しては「儚い」「不思議」といった感想を持つことが多かった気がするんだけど、今日はなんか凄かった。
07.シロツメクサ
08.ほおずき
09.一千年の散歩中
先ほどのケイスケさんの言葉を借りるならば、『シロツメクサ』は「ここにはいない誰かに歌っている」歌です。
この場合の「誰か」というのはこの曲の場合めちゃくちゃ明確で、3rdツアーの「空に向かって歌います」という言葉が全てを物語っているけど、とにかくその表情や声色や視線に心がぎゅーっと締め付けられるんですよね。
照明もとても良かったなぁ、バックの豆電球みたいなやつが一面緑に見えるけどよく見たら白がちらちらと移動しながら点滅していて、花咲きそうで満開とはいかないクローバーみたいな感じがいいな~って思いました。
そして、照明と言えば『一千年の散歩中』の照明が凄かった。
いや、まぁこのライブ全体を通して照明がもの凄かったんだけど。
イントロで客席がぱっと明るくなって、それが歌い出しにかけてステージへ向かっていき、愛生ちゃんに収束するという、この憎い演出。
そんで、2番のサビでその光が再び客席を照らしてからの、「私の手には道で集めた花束がある」。客席側の壁には『春風』で愛生ちゃんの背景を飾ったのと同じ花びらが壁一面に。しんどい。
10.love your life
11.music
12.クローバー
一億円チャレンジに失敗した人生すら愛して生きていこうという感情を乗せた『love your life』、非常に重かったですね…(?)
という冗談は置いといて、『music』では8本柱が2本ずつブルー・グリーン・イエロー・ピンクを灯していてナイスな感じでした。
『クローバー』は全体的に緑や白だったんだけど、1・2番のサビ直前に赤がパッと入るのが印象的でした(大サビ前には無かった)。
その演出にした意図はちゃんと分かってないんだけどな!
13.オリオンとスパンコール
14.シャムロック
15.叶えたまえ
16.Uh-LaLa
バンド紹介を挟んでご機嫌なロックパート。
なんだかロック曲を並べた後に『Uh-LaLa』で「苦手なものはロックンロール」と大嘘つくのが定番になっている感じ、めちゃくちゃ大好きです。
17.ディライト
「春になってスタートして」という歌詞がセットリスト頭の『春風』とマッチしていて、「人は忘れ行くけど」という歌詞が今回のライブテーマとマッチしていて、つまり本編ラストに『ディライト』があることに必然性を感じました。
-Encore-
18.猫になる
19.letter writer
もしかしたら『猫になる』を生で聴いたのは初めてかもしれない。
「二本足で立ってやる」のところ、足を揃えて直立するのめっちゃ可愛い。
最後の『君にありがとう』が特別枠なのでちょいと除くと、最初の『春風』とこの『letter writer』で綺麗に合唱曲サンドができるんですよね。
そういう、みんなで音楽をつくろうっていうスタイルは「今までとこれから」で変わらない部分なのかなって思います。
20.君にありがとう
CDや従来のライブのピアノ一本ではなく、ベストライブ限定のバンドアレンジバージョンで披露。
『君にありがとう』は言うまでもなく、「リュウちゃん」に向けて作られた歌であり、愛生ちゃんもこれまで、リュウちゃんに向けて歌ってきたのだと思っている。
しかし今回は、ベストアルバムの終盤に収録する曲として選び、ファンへの感謝の気持ちも乗せているのかな
ベストアルバムを一聴してその通りだと思ったし、この曲を最後に歌うということはそういうことなんだろうと思ってライブで聴いてみたんですが、個人的には違った印象を持ちました。
愛生ちゃんって、本人もよく言及するように「わたし対みんな」ではなく「わたし対あなた」の関係性で歌を歌うことが多くて、リュウちゃんだけでなくファンへの感謝も乗っけた『君にありがとう』ならば、観客と目を合わせたり微笑んだりするんだろうなぁと想像していたものの、そういった素振りは見せることなくて。
もっとスケールの大きな感謝を歌っているというか…バンドメンバーに対して、スタッフさんに対して、ここにいないファンに対して、極端に言ってしまえば世界に対して、「今までとこれから」に対して、とか。
優しい歌ではあるんだけど、優しいだけじゃなかった…もっとざらざらした包容力を感じた、ような気がする。
-W Encore-
21.春風 SHUN PU
バンドメンバーや愛生ちゃんが退場した後も『君にありがとう』がBGMとして流れていて、それが消えるまで会場全体の拍手がずっと鳴り止まなくて、なんだか舞台演劇の締めのようでした。
正直、ダブアン必要ないくらいに完璧な締め方だったと思うけど、「アンコール!」のテンポに合わせて愛生ちゃんがひょっこり登場。
「今までとこれから」がテーマのライブで、最初と最後が同じ曲というのもいい意味で変わらないんだよっていうのが感じられる選曲だった。
全体を通して
このツアー、3公演それぞれにテーマがありました。
"ルーツを辿れ、その先にある解放"
"散歩の途中 君と見た景色"
"今までとこれから 忘れても残る宝物"
の3公演。
ただ、披露した20曲は変わらなくて、それぞれセットリストの組み方が違っただけだったらしい。
僕の好きなロックバンドはツアー中にセトリをあまり変えないという信念があって、その理由に「1ツアーに複数公演見たいという動機がセトリ変更なのはクソダサい」みたいなことを言っていて、僕はそれをめちゃかっこいいなって思ってるんです。
で、愛生ちゃんは今回のツアーにあたって、上記のテーマだけでなく「どの公演に来ても『ここを選んで良かった!』と思ってもらえるように」ということも言っていて、どういうこっちゃと思ったらこういうセットリストの趣旨でした。
僕はファイナルしか行ってないからわからないけど、同じ曲でも違った表情を感じられるようなライブだったんじゃないかなって想像しています。
そういう意味では、会場限定曲が無くても全通する価値はあったと思うし、だからと言ってひとつを選んでもちゃんとメッセージが伝わるし、僕の好きなロックバンドとは違った方向で真摯なセットリストだなぁと思いました。
こういう組み方ができるのも、ソロ曲のそれぞれ(ベストに収録されている曲は特に)が愛生ちゃんにとっての言語で、自己紹介で、教科書だからなんだろうなぁと。
そんで、今回中野公演に参加して、これまででいちばん「この人の音楽が好きだ」と感じました。
ベストアルバム収録曲を全部やったんだから強い曲が並んでる、とかじゃなくて、歌・曲・ダンス・バンド・照明・セトリ・観客、その全部ひっくるめた「愛生ちゃんの音楽」が好きだと感じたんです。
さっき「舞台演劇のようだった」と書いたけど、まさにそんな感じで、愛生ちゃんの音楽は総合芸術なのかもしれない。
指先や爪先から音符が出てるんじゃないかってくらいに音楽を体現する愛生ちゃんとか、そんな愛生ちゃんを楽しそうに見守るバンドメンバーとか、ピアノの最後の一音まで聴き終わってから拍手する観客とか、会場の構成要素全てが美しくて、楽しくて、あたたかくて、洗練されているのにゆるっとしていて、居心地がいいんですよね。
僕自身が愛生ちゃんのおかげで色んな音楽を知って、それに伴って色んな音楽の見方ができるようになってきて、それが愛生ちゃんのライブへフィードバックされて、これまで気付けなかった魅力に気付けているということなんだろうけども。
今回『CHEEKY』や『Dill』で何かを解放した印象を受けたように、僕だけでなく愛生ちゃんも曲の新たな一面を見つけたりしていくんだろう。
このくらいかね。
とても良いライブでした。
おわり
12月28日追記
終わらないんだな~~~~!!!!
「全体を通して」で書いた、愛生ちゃんの音楽が好きだっていうところについて少し補足。
こう書くとめちゃ偉そうな印象を与えるかもしれないからやめとこーつって書くのをやめたんですが、愛生ちゃんのファンって音楽偏差値が高い気がするんです。
愛生ちゃんは「この曲はもうあなたの歌だよ」って曲を届けてくれる。
— もぎ (@mogimogimgmg02) 2017年12月26日
私の中で愛生ちゃんはいつも70%でプレゼントを贈ってくれるイメージで。
だからこっちも語りたくなるし、表現したくなるんだろうなぁ。愛生ちゃんからもらった曲を完成させられるのは"自分"だから。
でも愛生ちゃんはきっと100%にすることを求めていなくて、むしろ未完成なままでいいとも思っていそうで。だから、その曲をどうするかどうかはあなたに任せるよ、って託してくれるんだろうなぁとか勝手に思ってる。
— もぎ (@mogimogimgmg02) 2017年12月26日
最後の一音が鳴り止むまで拍手を待てる、っていうのもそうだけど、もぎさんが仰ってることを、みんなどっかで意識してるというか。
『春風』とか『music』とか、愛生ちゃんサイドから「あなたがいてはじめて完成するんです」という言葉が頻繁にあるというのが一因だろうと思っているんだけど、それが洗脳とか強制とかそういうのではなくて、もっと自由でもっと朗らかな関係性だと思うんです。
愛生ちゃん自身がめちゃくちゃ音楽偏差値高い人なのは疑いようがないことで、「演者とファンは似る」論ではないけども、自然とそうなっていったというか。
うーん、言葉で表すのはとても難しいんだけど、きっと愛生ちゃんのライブに行ったことがある人なら分かると思う、ライブ現場の音楽偏差値の高さが。
で、そんな愛生ちゃんは今回のベストライブで何か特別なことをしたり話したりしたかというと、(宝くじ以外は)そんなことはなくてですね。
愛生ちゃんにとってソロ曲とはどんな存在なのかを話してくれたりとか、感謝の気持ちを伝えたいとか、おさんぽは続きますとか、そういう今まで何度もしてきたことを丁寧になぞるライブだったなと思います。
追記おわりだよ~