せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

夢みたいな話は、

テストも終わり、就活も終わり、無事楽しい楽しい夏休みを過ごせているですよ。

社会人になっても夏休みってあるんかな、あっても数日間なんかな。
まぁ、きっと2ヶ月も暇な夏なんて最後だろうし、悔いのないように1日1日を大切にグダグダ過ごしていきたいところ。

今回のブログは、好きな言葉を取っ掛かりにして何かこういろいろと書いてみようというやつ。
暇なら読んでな!




2011年6月に初演、2016年9月に再演された、「bpm EXTRA STAGE『ESORA』」というお芝居の作品がありまして。
僕はそれの2016年バージョンを観に行ったんですが、先日公演DVDが発売されたので購入したのです。

bpmってのは、声優をやったりもしてる浅沼晋太郎さんなど現在5人から成る、エンターテインメント・ユニットです。
bpm名義での作品では浅沼さんが主に作・演出を担当していますが、他のメンバーもそれぞれの主宰劇団で演出したりしているよ。
bpmの魅力について語りたいんだけど、語る語彙を持ち合わせていないので、いったんとにかく見てほしいし、金額的時間的に難しいならDVD貸すし、早い話が推しが出てくれ(そしたら皆観るでしょ)。


bpmの説明はこの辺にしといて、ESORAです。

bpmの作品って、なんていうのかな、扱うテーマとしては軽い…というか、小気味いい感じがあるんですけど、この作品はまぁ重い。
コメンタリで浅沼さんも仰っていたことだけど、時期的に震災直後で、かつ浅沼さんは東北出身だから、命について触れないっていうのは逆に不自然だろうという考えがあったみたい。

重いっつっても見てて辛くなるとかではなくて、笑えるところはあるし、終盤にかけてカタルシスを感じるし、大好きな作品です。

んで、愛生ちゃんが出ていた2014年春の「不如帰」以降のbpmの舞台を見てきて、なんだか心のどこかに居続ける台詞やシーンがあって。
それの最たる例が、以下のESORAのシーン。

現在はバートンという名を名乗っている、当時海賊のスタンリー・ワイルダー(役:宮崎秋人)と、島に住み着く自由人のウディ(役:西田大輔)の会話の、回想の場面です。

「あいつを早く船から降ろしてやりてえんだ。
あいつの居場所は海賊船なんかじゃねえ。
けど俺は海賊だ、厄介事をもってくることしか脳がねえ。
口では自由をくれてやるなんて言って、なんもできやしねぇんだ。
あいつを船から降ろすなんて、夢みてえな話だよ」

「夢みたいな話は、みたいなってだけで、夢じゃねえと思うなぁ。
…女房がさ、下の子供生んですぐ逝っちまったんだ。
そんとき、人生ってなんともならねぇのかなぁって思った。
でもな、がむしゃらに子供を育ててたら…ははっ、違うな、がむしゃらな子供を育ててたら、こう思うようになった。
人生なんともならねえこともある、でも、なんとかしようとするのを、世界は許している。
許されてるうちは、なんとかする覚悟、持っていいよな」

「なんとかする覚悟…」

「海の向こうや大地の奥探したって、ろくなもんは見つかりゃしねえよ。
宝石の詰まった箱でも聖なる剣でも、ましてや忘れる酒でもない。
人のここにつまった覚悟こそ、本当のお宝なんじゃねぇかと俺は思うんだ」




当ブログの熱烈な読者(いるのか)ならご存知かもしれないけど、僕はラジオの作家さんになりたいなって夢を見て、A&Gアカデミーに入学しました。

そこではまぁまぁ上手くはやれたし、それなりの成果も得られたし、いい経験ができたとは思うけど、それ以上に「作家という仕事は自分には向いてない」という現実にも、向き合わざるを得ませんでした。

ESORAでこの言葉を聞いたのは、アカデミーに入った直後くらいのことだったので、この言葉が背中を押してくれた、というわけではないんだけど。
それでも今思うと、あの時の自分は、まだ俺は作家になれる!って思ってた自分は、「なんとかしようと」していたのかもしれないね。


作家なんて資格もいらないし、自称作家になら誰でもなれるし、作家事務所の門を叩けば何かしらの道は開けたのかもしれないけど、結局普通に就活をして、普通に内定をもらって、多分来年の春から普通に働き始めるんだと思います。
でもあれよ、ちゃんと自分の働きたい業界、力を尽くしたい業界から内定もらったし、親も喜んでくれたし、結果には満足してるよ。


こう振り返ると、夢見て世界に飛び込んだ結果夢を諦めた少年みたいな感じだし、それもあながち間違ってないけど、僕の中ではネガティブな気持ちとかは一切なくて、アカデミーで経験したこと、就活で経験したことは全部良いことだったなって思っています。
アカデミーに行ったおかげでラジオをもっと好きになれたし、就活をしたおかげで自分ってこんなにたくさんの夢やなりたい自分像があったんだって気付けたし。


作家になるっていうのは「夢みたいな話」のままだったけど、それだけじゃなくていろんな夢があって、きっとこれからも夢を見つけていくんだろうなって想像すると、めっちゃワクワクするじゃん。

その度に、なんとかしようとするのを世界に許されて、夢を見失ったり、抱え込んだり、諦めたり、時々ご褒美みたいに夢を叶えちゃったりしながら、たのしく生きていくんだろうな、とかさ。

面接で「最近一番楽しかったことはなんですか?」って訊かれて「就活です」って答えるくらいには楽しいこと探しが得意だと自負してるし、きっと毎日楽しいことばっかりだ。
どうせ適当にふらふら過ごして、適当に人様に迷惑かけたりかけられたりしながら80年間生きるんだったら、楽しく生きてた方がいいでしょ?

しんどいことあったら、そんときくらいちょっとだけ頑張って、なんとかする覚悟ってのを世界に見せつけてやればいいんだよ、たぶん。

でもまだしんどくないので、ちゃんとこの夏は計画的にグダグダしていきたいと思います。



っていうのを、夢を叶えていくある人を見て思ったよっていう、そういうおはなしでした。


おわり