せーはくの備忘録

備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。

20141225楽園追放舞台挨拶

12月25日に新宿バルト9で行われた、「楽園追放」の舞台挨拶。
登壇者は水島精二監督と脚本の虚淵玄氏。
司会者はコメンタリー上映の時と同じ、アニプレのタカシマさん。

虚淵「ざっと会場見渡して、カップルがいなくて安心です!今日はグラマーなおじさんとデートに来ました。よろしくお願いします」
水島「黒いクリスマスへ、ようこそ」

水島「本来は上映もう終わってるはずだった。4週で終わらせるつもりだったから。嬉しいよね、いい出来で面白い、いける!と思ってたけど、予想以上の評価でありがたいです」
虚淵「こういういい環境で見られる機会が増えるのはうれしいこと。まさかクリスマスまでやるとは」
水島「渋谷とかまだやってますし。環境が違うところでいろいろ見るのも面白いかなと。マニアックですけど」
虚淵「劇場比べみたいなね」
水島「3回目を見に渋谷行ってみようかな」

ここから事前にツイッターで募集してた質問コーナー。
Q「当初の150分から90分を目指すにあたって、具体的にどこを削った?」
虚淵「初稿を読み返して、ディーヴァ内のシーンをタイトル前に詰めた」
水島「OP前の2分間にね」
虚淵「マテリアルボディのトレーニングとかブリーフィングとか、ほんとはあった。フロンティアセッターへの対応を巡っての、3体の神とアンジェラの口論ももっと長かったけど、仁王像延々と映してもね…と思い削った」
水島「地上の世界を引き合いに出したりしてたね」
虚淵「なくても成立するだろうと」
虚淵「そもそも最初は『仁義』というフレーズすら出てこなかったね。アンジェラが拘束されて、FSいきなり現れてって感じだった。そこからいつの間にか、ディンゴとFSの会話があって、仁義が生まれて、アンジェラとFSのシーンにいく流れになってた」
水島「京田くんが仁義を振り付きで思いついてくれた」

Q「2人がタッグを組むにあたって、価値観の似ているところや違うところはあったか」
水島「作品に関わったのは虚淵さんが先だから、虚淵さんの面白い本をどう映像化するかだけ考えていた。そしたらやたら『水島の匂いがする』って言われて…虚淵さんが気を遣ってくれたのかな」
虚淵「それはない。もともとSFもの、近未来ものへの思いが近かった」
水島「さすが水島!って言われるシーンも、実は京田くんのシーンだったりw」
虚淵「(水島と虚淵は)歳の差が1回りも離れてないから、少年時代にワクワクしたものが似てるっていうのもある」
水島「虚淵さんの本の解釈を考えたことはない」
とにかくスムーズに打ち合わせが進んだことを強調する2人。

Q「アンジェラが食べたうどんは関西風ですか、関東風ですか」
虚淵「あれがうどんだといつ言った?あれはサンドワームの幼虫だ」
裏でもこの話題があり、東映のグッズ担当が「もううどんキャラで出しちゃったよ!」と悲鳴をあげていたとか。
水島「店内の張り紙も多国籍だから、一応うどんに見えるように、七味にみえるように、そんなところを狙って作った。美味しい物って想像つくけど明言はしないというか。見てる方に『美味しそうだ』と伝える小道具でしかないので」
虚淵「脚本では麺類って書いてた」
水島「ディンゴの話を聞かせるパートなのに、アンジェラがかわいくて耳に入ってこないって言われちゃった」

Q「アンジェラが地上に降下するシーンで、物音もなく静かなのはなぜ?普通は派手にやると思うのだが」
水島「物語として、着地音がないことでリセットされる効果を狙った。シークエンスのピリオドというか。コンテの時点で音無しが指示されてたので、そこは演出の技です」
司会「脚本家として、映像になって驚いたシーンは?」
虚淵「毎回それがアニメ制作に関わるときの醍醐味ですね。うどんはいい感じに演出されてたし、あとはビルの中の螺旋階段を走るシーン。アンジェラの辛そうな感じがよく出てた」
水島「動きがありつつも、尺が取れる螺旋階段は演出上計算しやすいんですよね。反対に車の中は動きがないからキツいw」

Q「尻で話題になってることはどう思う?」
虚淵「最高じゃないですか。人のメスのおっぱいは尻を連想させるためにあるんですよ。進化論的に…」早口すぎてメモが追いつかなかった()
水島「大騒ぎするほど強調してないんですけどね、4~5カットくらい。意識的に見せてはいるけど予想以上だった。肌としての肉感は、3Dモデルの方の頑張りです」
虚淵「乳尻アニメいっぱいあるなかで、狙ってないのにこうなって、ダークホースみたい。やったぜ」
司会「アンジェラのかわいさは本の時点から想像つきましたか?」
虚淵「想像以上」
水島「虚淵さんが『俺にも萌えアニメできた!』って」会場拍手。
虚淵「3Dアニメに期待していいのかっていう不安はあった。でも今後それがいらなくなるくらいの出来だった」
水島「多少ダメでもかわいくできるものを作ってくれた。横川くんのおかげ」
司会「3Dに違和感はもうない?」
虚淵「2Dと全く同じ意識でつくると、それはそれで3Dの良さがなくなる。違うツールとして意識して、でも3Dだからってブレーキをかけることは取っ払われた。向き不向きはあるけど、数年後はもっとすごいはず」
水島「セルアニメに近づいてる実感はある。3Dだけの方法論が感じられる」
虚淵「3Dで一元化しちゃう不安はもうないね」
水島「日本だからできる、表面上の変化とか、創意工夫とかを組み合わせて、日本のものとしていけそうだと」
司会「3Dでまたやりたいですか?」
水島「自分で企画したいですね。メインは2Dですけど、3Dから2Dとか、2Dから3Dとか、おたがいでどう活かせるか。ハイブリッドでできることがあるし、両方に影響があるいい仕事ができて運が良かった」
虚淵「やりたいですね。今後避けて通れないと思う」
司会「もしまたお二人でやるなら、Blu-rayは弊社の方で…」
水島「出資もしてくださいw」

最後の挨拶。
虚淵「さっきからなまはげのようにカップルを探してました。色気ないクリスマスを過ごすのは俺だけじゃないんだって思えました」
水島「黒いクリスマスへありがとうございました。ロングランは応援のお陰です。Blu-rayなどで2度3度と見ていただけたら」

以上です。