せーはくの備忘録

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20141204楽園追放スタッフコメンタリー上映

11月15日に公開された「楽園追放」の大ヒットを記念した、メインスタッフによるコメンタリー上映。
新宿バルト9で開催。

水島監督が「このコメンタリー上映が初見の人は…w」みたいに言ってたので、この作品をまだ見てない人は読まないほうがいいかもです。
全部をメモるわけにもいかなかったので、特に印象に残ったものを拾ってます。

以下、忘備録。
自分が座った席は最後列やや上手寄り。

メインスタッフは思ったより多く登壇。
下手から、阿尾さん(CG監督)、柏倉さん(モーション監督)、水島さん(監督)、京田さん(演出)、横川さん(造形ディレクター)、浅井さん(スカルプチャーデザイン)、上津さん(プロダクションデザイン)、齋藤さん(キャラクターデザイン)の8人。
司会の「今までに何回見ましたか?」の質問に、最前列にいた人が「21。今日は3回目」との答え。
水島「映画館に住んでる?」
司会「ちなみに楽園追放を見た感想は?」
21回の人「おしりが…」正しい。
齋藤「僕が描いたデザインよりも、横川さんがだいぶむっちりさせましたw」

ここでスタッフと司会者は中央の座席に座り、上映開始。
暗転したので、特にここからメモがうまくとれてないです。
水島さんが基本的にずっと喋っていたので、カギカッコ前に名前がない場合は水島監督のコメント。

「京田さんをまきこんだことが一番の仕事だった」
「最初の海岸のシーンは、視聴者はどういう世界かわからないので、あえて電脳っぽさを出さないようにした。空の色が緑がかってるくらい」
「全体のバランスを見て、ロボットアクションだけでなく、最初にキャラアクションを入れようと思ってアンジェラにアクションさせた。絵コンテは最後のほうに切った」
横川?「アンジェラが飛び込む入り口の造形は『目』をイメージした」
齋藤「アンジェラで苦労したのは、ディーヴァ内の制服。最初は軍服っぽく描いたら、水島さんと虚淵さんから『もっとぴっちりしろ』と指示が」
「SF的なイメージ。ヤマトだってそうだし。そういうわかりやすさは意識した」

「地上にアンジェラが降り立ってからの数分間を京田さんに見せて(作品への協力を)誘った」
京田「まさか全部3DCGで作るとは思わなかった。一部だけだと思ってた」

モーションキャプチャーは、人にセンサーをたくさんつけて動きのデータを取る手法。セルアニメにするならモーションキャプチャーはぬるぬるしすぎるから、手付けにした」
「(アンジェラがディンゴに怒るシーンで)ここの髪の毛の動かし方は新人の子が担当した。アンジェラを動かすのが楽しいみたいで、どんどん上手くなって、仕事たくさん与えたら最後パンクしてたw 最後はレッドブルの缶がデスクの上にたくさんあって、アピールされてるのかと」
「スタッフが若いのもあって、表現したいものを表現するっていうパッションを感じられた」

齋藤「今まで女の子のイラストばっかり描いてきたのでディンゴは苦労した」齋藤さんはpixivからのアマ出身なので、好きな絵を描いてればよかったという話から。
「シナリオを進めながら、三木さんの声が聞こえてきて、それで三枚目のデザインでいこうと。元々は傭兵のようなイメージだった」
虚淵さんの脚本が中盤まで来て、そこでディンゴのデザインがきまった」
齋藤「アンジェラは最初描いたら評価低くて。露出度上げろって言われて、透明なスーツを着たのを描いたら野口さん(プロデューサー)にやりすぎだって怒られた」

「1回アンジェラのデザインを立体化させようと思って」
横川?「ぶっちゃけると、胸像つくるっていう体で遊ぼうぜって話があった」
「それはぶっちゃけすぎ!w」

「アンジェラの(エメラルドグリーンの)パーツは、元気ないと光らない。元気なときに光る。たまにミスってるけど。(色彩設計の)村田さんが、『私間違えちゃったかも!?』ってあわててたけど、そのまま通した」

齋藤「モデリングが本当に素晴らしくて。アンジェラもディンゴも、1回見ただけでOKでした」

アンジェラが七味唐辛子の旨さに感激する萌えシーンについて。
「後ろにカップルがいるんですけど、女の方の表情はあれ以外できないw 男もああいう食べ方させてるのは、口を開けさせることができなかったから。でもモブも動かすことで密度をあげようと」
3DCGという手法上、どこに重点を置いて動かすかの取捨選択が大事だったみたい。
スケジュールもギリギリだったそうな。
「地上はアメリカ大陸のイメージ。残った人は人類の数%なので、いろんな人種がいるだろうと。最初の町は西部劇、次の町は東洋っぽい。荒廃しているというのは共通」

アンジェラが偵察カメラをセットするため施設を走り回るシーン。
??「全身が映るシーンは3DCG的に難しい。重心がバレるから。本当に難しいw」
「はしご上るところ、ここはいい尻ですね。そしていい胸。ここは本当にいい2カットでした」
「横川さんが本当に頑張った。3DCGでもここまでできるんだって。いいフェチ度でした、褒め言葉です」
「僕と虚淵さんで『俺らにも萌えアニメができた!』って言ってた」
??「人は現象として柔らかさがあるからそこを意識して動かした。キーボードを叩くときに指がしなるとか。反対にロボット(フロンティアセッター)は動きの素早さを意識」

「会話シーンはキャラを動かしすぎないようにした」
「京田さんとの2枚監督みたいな感じ。『俺のチェックいいから京田さんにチェックしてもらって』ってアニメーターに言ったら、ほんとに俺をスルーしてて。俺ハブられてんのかなってw」
「キャストはこれ以上ない。ベストなキャスティング。まずアンジェラがあって、そこからディンゴはアンジェラに対してどれだけ優しさを持ってるのかを考えた。それで三木さんだろうと」

機械室のようなところ、フロンティアセッターのアジトみたいなところ。
「フロンティアセッターがどれだけ動けるかをここのシーンで基準にした」

齋藤「アンジェラの靴は、爪先立ちです。でもあれは僕のデザインミスです!w 最近はだんだんと足を大きくして描いてます」
「てん足みたいな感じなのかと」

「五十嵐さんの表情の付け方が癖があって。3Dでもアニメーターの癖って出るんだと。イワサキさん(?)とオガタさん(?)もそうだけど、女性のアニメーターのほうが癖があった。いい意味で。こっちとしては『これはアンジェラじゃない』っていうアウトのラインまでは好きにやらせた。3DCGはツールでしかなくて、アニメーターの味が出るってわかった」

上津「小物はその場のノリで適当に…w」

「ディーヴァに帰還するところからは京田さんのターンです」
京田「ディーヴァに帰るときはアンジェラは左から右に動いてる。地球に帰るときは逆向き。(3人の神に囲まれてるところは)地球に立ってるような構図を意識。髪型も地球にいたときのまま、ロング。心情的にフロンティアセッターに肩入れしてるのを演出でわかるように。結局地球をボカして描いたから上手く伝わってないと思うけどw」
「一番盛り上がるところは、信頼できる京田さんに任せた。自分のところは部下的な2人に手伝ってもらった」

「3Dでしかできないようなカメラアングルとかはやらないように」

「前半は雲をたくさんいれて奥行きをだした。でも後半は(京田さんが?)雲なしの快晴でやりたいって。僕としてはごまかせないから怖かったけど、快晴でやりたいって言うから従った」

「(アンジェラの『私、まだこの世界を、ろくに知らない』のセリフについて)上から地球を見せて、そのあと言わせようと」
??「三間さん(音響監督)が素晴らしい。ノンモン(音無し)にしたのが」

??「アーハンのダメージ加工は手作業で上から貼ってる」
「作り手の愛と熱がすごい」
「CGでやれば効率化は図れる。その上でさらなる高みを目指した。作り手の欲求だね」
??「便利になった!ならもっとやれるじゃん!みたいなw」
「地道に新しいものを追求して。(京田さんがイメージしていた)80年代のOVAに似てる熱」

京田「3Dアニメでセルルックで、このタイミングで関われてラッキーだった。面白くなる瞬間に、この時代に立ち会えた」
「野口さんはよくこのプロジェクトを立ちあげた」
齋藤「僕は0から1をつくっただけ。1を10にしたのはスタッフのみなさん」
「1割ってでけーな?w」
齋藤「ああああ、じゃあ0.5くらいで!w」

「偶然集まったスタッフと楽しいフィルムが作れた。みんなで達成できた。なにより京田さんのスケジュールが空いてたのがでかい。ついてた」


ここで上映終了。
またスタッフは客席を離れ、スクリーン前に。

「オーコメとる時間なくて、Blu-rayにもオーコメは収録してない。ギリギリまで作ってたから。スケジュールも挑戦の一つだった」

最後のコメント。
齋藤「虚淵さんの次くらいに関わらせていただいて。みなさんのおかげです」
上津「3年位かかわってました。自由で楽しかった」
浅井「僕も3年位。最初の1年は、月に1~2回、飲むために集まってるような感じでw いい結果になってよかった」
横川「2年位です。作業は1年半くらい。齋藤さんのデザがよかった」
泊まりこんで仕事するのは横川さんが最多だったそうです。しかも自ら進んで仕事を増やして泊まりこんでたみたい。
制作進行が青ざめるレベルで仕事を増やしていたそうw
柏倉「もっとこういうこともできるんだ、と発見できた作品」
阿尾「スタッフが成長できた。東映さんに感謝。10年位CGやってるけど、ベストなものができた」
京田「作り終わって、奇跡のような作品だなと。同じメンバーが集まっても同じものはできない。グラフィニカチームが軌道に乗り始めたこの時機に絵をつけてもらえてラッキー。過渡期ゆえの面白さ。10年後に見た時、2014年にこれができていた、というクサビとなる作品」
水島「いろんな人に楽しんでもらえてる。ミラクルのような作品。面白いことを追求した結果を沢山の人に見てもらえて幸せ。演出冥利に尽きる」

せっかくなので会場の皆さんと写真撮りましょう、という司会者の言葉に劇場スタッフがなにやら耳打ち。
そうとうスケジュール押してるみたいで、この後の上映の準備があるから写真すら撮らずにそのままスタッフは退場w



以上です。
誰の声だったかが水島監督以外わからずに、だいぶ適当になってしまった。
感じたことは、「作り手のやりたいことをやった結果が受け手の見たいものになってる奇跡」です。
やっぱりアニメーターってこだわりをもって作ってくれているんだな、って再確認できて嬉しかった。
これこそが「アニメーション」なんじゃないかななんて思ったり。

作中で「どれが人間なのか、なにをもって人間なのか」がテーマのひとつで、裏テーマとして「どれがアニメーションなのか」があるみたいなのをパンフで見たけど。
2Dだろうと3DCGだろうと、こだわりをもって熱をもって愛を込めてやりたいことを詰め込むのが「アニメーション」だと思った。
売上とかスケジュールとかを計算しないといけないんだろうけど、この作品はそういうのを超えるものを優先している気がした。
それが高い評価を受けてるのは、革新的な作品なのかもしれない。
京田さんの最後のコメントは、自分が初めてこの作品を見たときに思ったことと全く同じで、ちょっと嬉しかったw

あと、監督が京田さんに寄せる信頼度の高さが恐ろしい。
120分のイベントで10回は「京田さんのおかげ」を言ったのではなかろうかw


改めて、本当にいい作品に巡り会えた。